2014 Fiscal Year Research-status Report
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26610025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白井 朋之 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (70302932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 裕章 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (10432709)
樋口 雄介 昭和大学, 教養部, 講師 (20286842)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パーシステントホモロジー / ランダム複体 / エルデシュ・レンニグラフ / リニアル・メシュラム複体 / クリーク複体 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーシステントホモロジーは従来のホモロジーの考え方を押し進め,複体のフィルトレーションに対して定義される.この枠組みによりホモロジー類の時間的な発展が詳しくわかるようになり,また,計算機を用いてこれらの量を調べることが可能になってきている.パーシステントホモロジーの考え方はランダムなフィルトレーションにも適用可能で,それから自然に得られるパーシステントホモロジーの情報をもつランダムなパーシステント図の考察を始めた.26年度は特にランダム複体とそれから定まる単調増加なランダム複体過程を扱うための基礎的な枠組みの整備を行なった.ランダムフィルトレーションの典型例として,エルデシュ・レンニランダムグラフを増加確率過程とみなし,そのグラフとしてのクリーク複体をまた増加過程と考えたもの(クリーク複体過程)と,エルデシュ・レンニグラフ過程の別方向への拡張であるリニアル・メシュラム複体過程を考察の対象とした.これらの研究を念頭に置いて,全域木の拡張である高次元の対象を定義し,その性質を詳しく調べた.これはカライが完全グラフの複体版である完全複体で行なった研究を一般の複体にどこまで拡張できるかを調べたものである.また,パーシステント図から定まるある種の実数値関数(ホモロジー類の平均生存時間)が,ベッチ数や全域木の高次元の拡張を用いて表現ができることを示した.また,離散モース理論(非周期的マッチング)の考え方を用いてその平均についての評価を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーシステントホモロジーをランダム複体に適用するための基本的な枠組みは概ね整備できた.複体をランダム化する方向は様々あるが,これまで詳しく研究されているエルデシュレンニグラフ過程を特別な場合として含む2種類のランダム複体の考察を始めて,今後の研究に必要な大枠の設定ができたことが一つの成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
クリーク複体過程とリニアル・メシュラム複体過程をランダムフィルトレーションとする場合のパーシステントホモロジーを詳しく調べる予定である.また,既に述べたように今後の研究の大枠はできあがり新しい問題が設定できるようになったので,この枠組の下で意味のある問題設定を考えてその研究を進めて行く予定である.パーシステント図の汎関数の分布の性質を調べることは目標の一つである.
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Causes of Carryover |
別件の研究打合せなどにあわせて数回当該研究の研究打合せを行なったことにより,研究打合せに必要な旅費が予定より少なく押さえられたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分担者の1人の平岡裕章が代表者の所属する九州大学から東北大学に異動になったため研究打合せの旅費として使用する予定である.
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