2017 Fiscal Year Annual Research Report
Control of patterns by multicomponent reaction-diffusion systems of degenerate type
Project/Area Number |
26610027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 泉 東北大学, 理学研究科, 名誉教授 (40154744)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 退化型反応拡散系 / 第一種不連続性をもつ定常解 / 安定性 / パターン形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生物の発生過程における形態形成のモデルとして Marciniak-Czochra が提唱した拡散性物質と非拡散性物質からなる反応系(以下MCモデルと呼ぶ)に現れるパターンの選択の機序を解明することを目的に行ってきた.MCモデルでは,すべての成分が拡散する標準的な反応拡散系とは異なり,非拡散成分が第一種不連続性を有する定常解が無限に多く存在し,それらはすべて安定であることが判明した.従って初期条件と時間が無限に経過したのちの極限として現れるパターンとの関係も非常に複雑であると考えられる.そこで,極限パターンの特徴である不連続点の個数と初期条件との関係の解明などを当面の目標とした. MCモデルは非線型性がやや複雑なので,参照系として,より精密な解析が可能と思われるFitzHugh-Nagumo方程式系をとりあげ,定常解の集合の大域的な構造を調べた.パラメータの適当な範囲内では,定数定常解から分岐する連続な定常解の枝をすべて決定することができた.これらはいずれも不安定であることも示した.さらに,分岐点の近傍で,分岐解の安定多様体と不安定多様体を構成した.現在は,これらの情報に基づいて,定数定常解の近くから出発する解がどのような振る舞いをして定数定常解の近傍から離れていくかを考察し,数値解の大域的挙動と比較している. 一方,本研究のもう一つの主題である,空間的不均一性の導入によりパターンがどのような影響を受けるかという問題について,スパイク状定常解をもつ空間的非等方的かつ非一様な単独の反応拡散方程式に対し,位置決め函数を導入し,スパイクは,位置決め函数の臨界点にのみ現れることを示した.変数係数の FitzHugh-Nagumo 方程式の場合,不連続性をもつ定常解の構成そのものが新しい問題であり,本研究はその端緒についたところである.
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Research Products
(12 results)