2014 Fiscal Year Research-status Report
極地の雪結晶を含む中谷・小林ダイヤグラムの拡張と雪結晶サイズによる三次元化の数理
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26610031
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
矢崎 成俊 明治大学, 理工学部, 准教授 (00323874)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 雪結晶モデル / 結晶成長 / クリスタライン / ヘレ・ショウ流れ / 異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1936年,中谷宇吉郎は人工雪結晶の作製に成功した.世界で初めてのことであった.そうして,人工雪を使って中谷はさまざまな雪結晶の形状の分類をおこなった.パラメータとして「温度」と「過飽和度(湿度)」を採用し,それらを 2 次元平面上のフェーズ・ダイヤグラムとして表し,1951年にそのダイヤグラムを発表した.1961年,小林禎作はこの中谷ダイヤグラムをより精密に,見やすく改良したしたダイヤグラムを発表した.中谷は人工雪発生装置として対流型のものを用いたが,小林は拡散型のものを用いた点に,実験装置の違いが見られる.こうして,雪結晶形状の雪氷学的分類はこれで一段落着いたが,中谷・小林ダイヤグラムを再現する決定的な雪結晶成長の支配方程式はなく,ダイヤグラムの外に属する南極で発見された特異な雪結晶の分類も未完了である.また,横山・黒田により,ダイヤグラムに第三の基軸を加えた拡張型も提案されている.ここでいう第三の基軸とは,無次元化された結晶のサイズである.本申請研究の目的は,これらのダイヤグラム外の雪結晶形状決定問題や三次元ダイヤグラムの提案に回答できる雪結晶成長モデル方程式の構築と既知の結果を再構成することである. 当該年度は,横山・黒田モデルの再検討とその三次元化への可能性を探求する研究計画を立てていた.そして,実際,横山・黒田モデルの再検討と新しいモデルの開発を行った.特に,異方性のあるHele-Shaw流れの外部問題を用いたモデルとの可能性を探っており,現在もその研究は進行している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,雪結晶成長の横山・黒田モデルの検証,三次元化への拡張,新モデルの提案であった.三次元への拡張については,やや遅れ気味であるが,一方で,異方的なHele-Shaw流れとの関連の研究は進んでおり,その意味で,総合的に考えると,おおむね順調といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究の方向をそのままに,研究計画から大きく外れることなく,研究を推進していく予定である.
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Causes of Carryover |
事前に想定していた旅費と実際の旅費との差額が生じたため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該助成金は,翌年度分として請求した助成金と合わせて,専門的知識の提供や旅費等として使用する計画である.
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