2014 Fiscal Year Research-status Report
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26610034
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
齊木 吉隆 一橋大学, 商学研究科, 准教授 (20433740)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 力学系 / 非双曲性 / 間欠性 / カオス的遍歴 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、カオス的性質をもつ1次元写像を平均場結合することによって2次元結合写像を構成し、それに関しての研究をおこなった。まず、パラメタ空間(1次元写像のパラメタと結合強度をあらわすパラメタ(結合パラメタ))を広域に調べ、2種類のカオス的状態(ラミナー状態とバースト状態)を不規則に行き来するオン・オフ間欠性がロバストに起こり、特に、微小な結合パラメタの下でもオン・オフ間欠性が起こることが確認された。また、各状態に継続して滞在する時間の分布を調べるとラミナー状態に関してはベキ的、バースト状態に関しては指数的であることを確認した。したがって、この2次元結合写像はカオス的遍歴現象が持つべき重要な性質をもつことがわかった。そこでオン・オフ間欠性を示す写像を詳しく調べるべく、系に埋め込まれた不安定周期軌道を多数検出した。不安定周期軌道を分類するとラミナーに埋め込まれたもの、バースト状態に埋め込まれたもの、さらにその双方に不安定次元が1のサドルと不安定次元が2のリペラーが存在することがわかった。ラミナーのサドルはラミナーカオスを駆動する役割で、ラミナーのリペラーはラミナーカオスからの離脱を駆動する役割であると考えられる。しかし、ラミナーにおいてサドルとリペラーが共存している場合にも、2次元写像のアトラクタがラミナーカオスとなりうることがわかり、ラミナーにおけるリペラーの存在が必ずしもラミナーアトラクタの崩壊を起こさないこともわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの結合力学系の解析はラミナー(同期状態)の局所安定性解析に留まっているものが多かったが、本研究において大域的な構造解析、すなわちバースト(非同期状態)に埋め込まれた不安定周期軌道解析に踏み込むことによって意義深い結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
カオス的遍歴は本来高次元力学系にあらわれる複雑現象と考えられてきており、3次元以上の結合力学系において、2次元の場合とは異なる描像が得られるかどうかを不安定周期軌道の観点から研究する。また、系に内在する対称性を減らした場合にも同種の現象がみられるかどうかについても研究する。これらの研究を推進するために平成27年度もアメリカのメリーランド大学のJames A. Yorke教授を訪問して共同研究する。
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