2015 Fiscal Year Research-status Report
複素数体上の完備直交t-デザイン系の存在・構成問題とその応用
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26610036
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| Research Institution | Chubu University |
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Principal Investigator |
神保 雅一 中部大学, 現代教育学部, 教授 (50103049)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 組合せデザイン / 複素数体上のデザイン / ｔ－MOD / 量子ジャンプ符号 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
複素数体上の完備直交t-デザインの族(t-MOD)の概念は，量子ジャンプ符号の概念を数学的に定式化したものであり，研究代表者がt-MODの概念を導入した．t-MODはブロックを共有しない古典的なt-デザインの族(large set of t-design)の一般化であるが，large setの存在は特殊な場合を除いて未解決であり，当該分野では難しい問題とされている．本研究では，複素数体上のt-MODの存在問題を扱うと同時に，{0, 1}上のt-MODであるt-SEEDの存在・構成問題についても研究を進めている．
研究代表者は，2－SEEDについて，組合せデザイン，直交配列などを用いた2，3の構成法を与えているが，最近，業績リストにあるようにアフィン不変なSQSの構成法を得ており，その副産物として，3-SEEDができる可能性を見出し，その一般化にチャレンジしている．
複素数体上のt-MODについては，ある種の場合に，その非存在証明を行い，また，n次元複素球面上の1-MODの構成法も得ている．この1-MODの構成を与える複素球面上の点配置はある種のdifference matrixと呼ばれる剰余環上の行列の族を用いて構成することができ，このようなdifference matrixの族を構成する方法の研究を推進している．また，複素数体上の球面デザインと呼ばれる点配置にある種の変換を施して得られる点配置の族から1-MODを構成する方法についても計算機を用いて構成法を探っている．
本実績報告書ではt-MODの構成法に関連して得られた成果をリストアップしておく．また，関連する研究に関する新たな知見を得るために国際会議「the 4th Japan-Taiwan Conference on Combinatorics and thier Applications」を開催した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結合行列が{0,1}行列のt-MODについてはこれまで知られている組合せデザインを用いた構成法に加えて，アフィン不変SQSの族を用いて構成する方法の着想に至り，{0,1}上の3-MODである3-SEEDの一般的な構成法の研究を行っている．また，最近，組合せデザインに巡回群が作用する場合に巡回軌道のresolutionの存在問題について成果を得ているが，この手法もt-SEEDの構成法に有用であろうと思われる．
また，複素数体上の1-MODを構成するための道具として，ある種のdifference matrixを用いる方法を見出した．さらに，球面デザインの点配置に変換を施して1-MODを得るアプローチも並行して研究している．
t-MODに関連してアフィン不変SQSの構成などを論文誌に発表しており，それらの成果をt-MODに適用することにより，研究が進展すると考えている．
最終年度には，これまでの成果をt-MODに関する論文として公表すべく着想をまとめる．
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度も，{0,1}上のt-MODすなわちt-SEEDの構成法の研究と複素数体上のt-MODの構成法と存在問題を並行して研究を行う．
（１）t-SEEDの構成法については，afine不変なSQSの構成法，あるいは巡回デザインの巡回ブロックの分解手法を用いたt-SEEDの研究を推進したい．
（２）複素数体上の1-MODの構成法については，difference matrixの族を用いた手法を一般化させ，さらにそのようなdifference matrixの族の構成法を与えたい．さらに，複素球面上の球面デザインの自己同型群を含むより大きい群を見出し，それを用いて，互いに直交する球面デザインを作る方法により1-MODを構成する方法を得たい．
（３）これらの目的のために，国内外の代数分野および組合せ論分野の研究者と交流を密にして新たな研究の視点を得たい．また，研究の最終年であるため，関連する研究との関係を明らかにしてt-MODに関する研究成果をまとめて公表したい．
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| Causes of Carryover |
平成27年度末に開催した国際会議での招聘費用が嵩んだため，予定していたパソコンの購入費用が不足し，購入を次年度にしなければならなかったこと，および国際会議における学生アルバイト費や宿泊費の書類提出が年度末になったため，一部次年度支払いとなったため．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度早期に，繰越額と平成28年度分を合わせて，学生アルバイトの残額を支払う．また，パソコン等を購入するとともに，研究集会，国際会議などに参加し，研究情報交換と研究成果の発表を行い，最終年度のとりまとめを行う．
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