2015 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット人工原子による電波・赤外分光天文観測の為の次世代超高感度検出素子の開発
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26610049
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前澤 裕之 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00377780)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ドット / 電波天文学 / カーボンナノチューブ / ヘテロダイン分光 / フォトン検出器 / 宇宙物理学 / 惑星科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、系外惑星探査が飛躍的に進み、生命起源物質のサーベイや、系内外惑星大気やハビタブルゾーンからの極めて微弱な電波~赤外域の分光観測の重要性が急速に高まっている。 本研究では、カーボンナノチューブ量子ドット(CND-QD)検出素子を応用し、電波・赤外領域の天文学の分光観測や直接撮像のための極限的な高感度検出素子の開発に着手する。具体的にはインピーダンス整合やビーム集光アンテナ、サイドゲート電極などの設計改良・集積を行い、ヘテロダイン検出素子・ダイレクト応答素子としての性能評価・実用化開発を推進する。さらに、CNT-QDの電磁波との相互作用の物理素過程を探り、検出素子としての動作メカニズムをモデル化し、高感度化開発にいかすことを目指す。 本年 (1)量子ドット素子の形成プロセスについて、従来のエッチングから、新しい手法に改良し、接合部の容量・抵抗などの物性の再現性を改善することができた。(2)そのパラメータを用いて、従来の準光学型のTHzヘテロダインミクサ検出素子とコンパチブルな設計パターンを検討し、試作段階に入った。(3)極低温真空冷却チャンバーを改良し、3ポートの微小電流・電圧供給システムを融合し、外的な電磁場ノイズの影響を受けず、フェムトアンペアのオーダーでも安定かつ低雑音に電流を供給する量子ドット素子の冷却・評価実験システムを完成させた。(4)2重接合の量子ドット素子の、回路内の電磁場環境も考慮したモデルを構築し、クーロンブロッケードやクーロンステアケース、RF/LO入射によるフォトンアシステッドトンネリング効果に付随する温度依存の非線形電圧電流特性のシミュレーションを可能にした。これにより、入射電磁波とのマッチングの回路設計や、稼働時のバイアス動作点の最適化、量子ドット接合部の物理パラメータの設計・プロセスへのフィードバックが容易化した。
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