Search for dark matter with a Compton camera for line gamma rays

2016 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26610055
• Research Institution: Ibaraki University
• Principal Investigator: 片桐 秀明 茨城大学, 理学部, 准教授 (50402764)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: ガンマ線 / 暗黒物質 / コンプトンカメラ / シンチレーター / 陽電子

Outline of Annual Research Achievements

511keVのラインガンマ線は、暗黒物質の対消滅時に生成される陽電子が電子と対消滅する際に発生が期待されるため、暗黒物質の起源に制限をかけることができると考えられる。本研究では、シンチレーター結晶を用いた511keVのガンマ線に特化したコンプトン型の高感度ガンマ線カメラの実現可能性の検証を目的とする。実現可能性を評価するには、結晶が持つ特性を検出器シミュレーションに入れる必要がある。平成26年度～平成27年度には、候補となる様々なシンチレーターと光検出器による実測を行った。その結果、NaI(Tl)結晶をスーパーバイアルカリ光電面のPMTで読み出すと最も角度分解能が良好で、コンプトン散乱角を24度以内に限定すれば1度程度（σ）の分解能が期待できることが分かった。この結果を受けて、平成27年度にGEANT4を用いたシミュレーションによる有効面積および視野の評価を行った。銀河面放射分布を測定することを想定し、角度分解能を敢えて犠牲にすれば（σ～10度）、小型衛星搭載程度の重量でSΩ（有効面積×視野）としては提案されている将来計画を凌ぐものが実現可能であることが分かった。これらの結果を受けて現在、大気バックグラウンドのシミュレーションを組み込んで、より現実的な感度を求めようとしているところである。一方、これまでのコンプトンカメラの開発・設計検討を基に、SOI技術を用いた～10μm程度のピッチを持つ半導体検出器を用いたコンプトンカメラの検討もKEK、京都大学と始めた。この位置分解能を利用すれば、コンプトン散乱を起こした時の反跳電子の飛跡をとらえられる可能性があり、角度分解能の向上およびバックグラウンドの低減が期待できる。さらに半導体の高エネルギー分解能を生かせば、サブMeV領域のラインガンマ線観測に最適化できる可能性がある。