2015 Fiscal Year Research-status Report
Hidden photon dark matterの探索
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26610059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓑輪 眞 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90126178)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | hidden sector / photon / dish antenna |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙の暗黒物質の候補の中で一番よく知られており、我々も過去に探索を行った暗黒物質の候補で、また現在行われているほとんどの探索実験が狙っているのは、Weakly Interacting Massive Particles (WIMP)である。しかし、暗黒物質には、axion-like particles (ALP) や hidden photons (HP)のような Weakly Interacting Slim Particles (WISP)と呼ばれるもうひとつの重要な候補がある。
我々はこのうちのHPを、最近提案された球面鏡を使う方法で広範囲の質量領域の探索実験が可能であることを示した。この比較的単純な手法の有効性を実証するために、我々はこれまでにHPの質量がおよそeVの光学領域とおよそμeVの電波領域でふたつの探索実験を行い、その結果について論文を出版した。いずれもこれまでに未探索のパラメータ領域に制限をつけている。とくに電波領域の探策実験では、放物面鏡と平面鏡の組み合わせという新手法を提案して実際に使用した。
HPの質量探索領域を広げるために、光学領域については光電子増倍管以外に低雑音・高量子効率で広帯域のCCDカメラを、電波領域では通信用のLNB(Low Noise Block Converter)のうち使用可能なものについて検討を行った。その結果、CCDについては天文観測用に開発されたものが良い性能を持っていることがわかったが、かなり高価なので本研究課題では購入できなかった。また、通信用のLNBは各種存在するが、使用周波数帯域が限られており、広範囲の質量領域を連続スキャンするのには不向きであった。やはり専用のものを開発していくべきであるとの結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
球面鏡を使う方法で広範囲の質量領域のhidden photon探索実験が可能であることを示した。とくに電波領域の探策実験では、放物面鏡と平面鏡の組み合わせという新手法を提案して実際に使用した。また、結果を論文として出版し、国際会議での口頭発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
探索手法の有効性が示せたので、探索質量範囲を広げるための予算獲得が重要となる。
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Causes of Carryover |
探索したhidden photonの質量領域では有意な信号は発見できなかったが、データ解析をさらに進めて制限値の改良を目指す。また、成果をひろく国内・国際学会等において発表し研究をさらに深める。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内旅費、外国旅費、消耗品費
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