• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2014 Fiscal Year Research-status Report

ナノテクノロジーを利用した荷電粒子検出素子の研究

Research Project

Project/Area Number 26610060
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

江成 祐二  東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (60377968)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords素粒子実験 / 荷電粒子検出器開発 / 先端技術の応用 / ナノテクノロジー
Outline of Annual Research Achievements

ナノテクノロジーを用いた薄膜太陽電池(ソーラーセル)を利用した荷電粒子検出器を開発することが本研究の目的である。これは新しいテクノロジーを用いた検出器であるため、次の3つの面から研究を進めている。
(a) まず、ソーラセルの開発状況の把握が不可欠である。文献、インターネットでの検索、および企業展(イノベーション・ジャパン)への参加することで得た情報をもとに、複数の企業および研究機関へコンタクトを取り、このアイデアの議論を行ってきた。訪問した主な研究機関は東京大学先端科学技術研究センター、産業技術総合研究所の太陽光発電工学研究センターである。東大の先端研ではソーラーセルの最新の開発状況の把握ができた。また産総研では本研究で考案した検出器の原理に関しての具体的な議論ができ、非常に有用であった。これらの訪問を通して、ソーラセルを製作している企業および研究機関の情報が得られ、それを元にこの検出器に使用可能なソーラセルを入手を試みている所である。
(b) 太陽電池の性能を評価するためのテスト環境を整えた。光源には複数のLEDを組み合わせる事により、波長200nm付近の紫外領域から2000nmの赤外領域までカバーし、THORLABS社製の校正済みのフォトダイオードを用いて広い範囲で光の収集効率を測定できるように設計した。現在は入射窓や素子の大きさ等の補正を行っている。
(c) 検出器の原理が正しさ、また実際のソーラセルに求められる性能を数値計算シミュレーションを用いての検証を進めている。(b)で行っているテスト実験との整合性を得る為にベース材の中での詳細な光の伝播や吸収長等の最適化を行っている。
また、この検出器が実現できた暁にはLHCアトラス実験等の大型検出器への導入を考えており、その読出し回路の研究も平行して行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2年間の研究計画において、1年目が終わった時点で、検出器として動作するソーラーセルの選定まで漕ぎ着ける予定であったが、そこまで到達していないため、「やや遅れている」とした。ソーラーセルの理解、開発の方向性および手法は問題ないと認識しているが、肝心のソーラセルが入手できていない限り、検出器としての性能を評価する段階にはたどり着けない。これはある程度予想したことでもあったが、最先端のデバイスを提供しうる研究機関、または企業を探せていないためである。
テスト環境の整備やシミュレーションの方はデバイスの性能を計測、それを再現するシミュレーションを行える所まであと一歩といった所であるので、「おおむね順調に進展している」という認識を持っている。

Strategy for Future Research Activity

本開発研究で最も重要なのは、検出器として動作しうるソーラーセルを入手することである。これには、今までコンタクトを取っていない研究機関、企業に足を運び、議論していく必要がある。これには、現在までに行ってきた議論の中で出てきた研究機関や企業に連絡を取っていこうと考えている。今までは大学の研究室レベルで開発を進めている所や海外の企業まで手が回っていなかったが、これらを視野に入れ、ソーラーセルの入手に取り組んでいく。
最終的な検出器の性能評価をする為に、テスト環境の増強にも取り組んでいく。予想される検出光子数が小さいため、読出し回路の改善(高ゲインのアンプの使用、ノイズのさらなる低減)をしていく。また、当初の研究計画通り、宇宙線を使用するためのトリガー・カウンタのセットアップや複数チャンネルのデータ取得システムを整える。
性能の高いソーラーセルを探していくとともに、検出器としての性能を向上させることも1つの重要な課題である。これには、荷電粒子が入射時の光の輻射に別の材料を用いるなどの工夫を試し、実際に荷電粒子が検出できるカウンターの実現に取り組んでいく。
最終的にはこれらの開発研究をまとめ、日本物理学会での成果報告、論文執筆・投稿を行っていきたいと考えている。

Causes of Carryover

現在までの達成度の項目で記述した通り、この開発研究で一番重要な荷電粒子検出に使用可能なソーラセルを製作できる研究機関または企業が選定できなかったため、デバイスの購入を控えたというのが主な理由である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

引き続きソーラセル製作可能な研究機関、企業を探し、ソーラセル選定を次年度の早い段階で進めていく。当該年度の未使用分はこのソーラセル購入用である。当初の計画からの変更はこの点だけである。次年度は計画通りに研究遂行を予定しており、予算の使用についても大きな変更はない。
購入予定の物品としては、仕様の異なるソーラーセルを数種類を選定、購入する。まずはサンプルの入手(20-30千円)、最終的には1セット20千円を5セット程度を考えている。またテストベンチにおいて宇宙線を用いた計測を可能とするために光電子増倍管やシンチレータの購入、周辺装置の購入を予定している。旅費や諸費用として、企業や研究機関への交通費、また国際学会への参加費、また論文投稿用の経費も計上している。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Search for the bbbar decay of the Standard Model Higgs boson in associated (W/Z)H production with the ATLAS detector2015

    • Author(s)
      G. Add, Y. Enari et al. (ATLAS Collaboration)
    • Journal Title

      Journal of High Energy Physics

      Volume: 1 Pages: 69

    • DOI

      10.1007/JHEP01(2015)069

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] ATLAS LArカロリメータアップグレード 高速データ通信テストボードの性能評価2015

    • Author(s)
      嶺岸優司, 江成祐二, 他10名
    • Organizer
      日本物理学会 第70回年次大会
    • Place of Presentation
      早稲田大学 (東京都・新宿区)
    • Year and Date
      2015-03-22
  • [Presentation] ATLAS LArカロリメータアップグレード:テストボードの製作と高速データ通信の研究2014

    • Author(s)
      嶺岸優司, 江成祐二, 他9名
    • Organizer
      日本物理学会 2014年秋季大会
    • Place of Presentation
      佐賀大学 (佐賀県・佐賀市)
    • Year and Date
      2014-09-20
  • [Presentation] ATLAS LArカロリメータアップグレード:信号処理アルゴリズムの開発2014

    • Author(s)
      久島真悟, 江成祐二, 他7名
    • Organizer
      日本物理学会 2014年秋季大会
    • Place of Presentation
      佐賀大学 (佐賀県・佐賀市)
    • Year and Date
      2014-09-20
  • [Presentation] HL-LHCでのHiggs研究2014

    • Author(s)
      江成祐二
    • Organizer
      日本物理学会 2014年秋季大会
    • Place of Presentation
      佐賀大学 (佐賀県・佐賀市)
    • Year and Date
      2014-09-20
    • Invited

URL: 

Published: 2016-05-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi