2016 Fiscal Year Annual Research Report
Search for an unknown force with an atomic force microscope
Project/Area Number |
26610061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三尾 典克 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (70209724)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 未知の力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまで準備した試料の表面での力の測定を行った。試料は、厚さ1mm の白金板および、シリコン基板上に厚さ100nmと200nmの白金薄膜を付けたものを測定した。まず、表面の状態を確認するために、1μm×1μmのエリアで表面粗さを測定した。その結果、白金板の表面状態と白金薄膜の表面の状態にはかなりの差があることが判明した。そのような状態で、力の状態を測定した。これはフォースカーブと呼ばれるものであるが、原子間力顕微鏡の探針と基板の相互作用の大きさがかなり大きく、また、いったん、吸着されてしまうと、探針が離れるまでに大きな力が働くので、今回の未知の力の探査として有効な領域が限られていることも判明した。実際に測定された力の状態を調べると、吸着力は試料ごとにばらつきがあり、フォースカーブ全体を見ると大きな違いが見られているが、非接触の引力領域での振る舞いに関しては、3つの試料で大きな差は見られなかった。さらに、詳細に検討すると、白金板と薄膜の試料ではわずかな違いが見られたが、膜厚にはほとんど依存しなかった。ただ、原子間力顕微鏡の探針の制御の位置分解能が不十分で、最終的な結論の得られるようなデータを取得することができなったが、未知の力の大きさの上限に関しては、既存の制限に比べて10000倍くらいのデータとなった。しかし、今回の研究において、非接触での引力領域での振る舞いは、空気中での測定にも関わらず、かなり安定したものであった。この点を考慮すると、原子間力顕微鏡の測定精度の向上を進めることで、本当の目的であった未知の力探査の精度を向上できることが分かり、研究の方向性を定めることができたと考えている。
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