2015 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導検出器とSOIピクセル検出器を合体させた新規暗黒物質探索用検出器の開発
Project/Area Number |
26610070
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石野 宏和 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (90323782)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超伝導検出器 / SOI / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、SOIピクセル検出器と超伝導検出器を組み合わせた新規な検出器により、暗黒物質探索で大きな系統誤差の1つであるシリコン検出器内のイオン化収率を測定することを目的とする。二つの検出器を融合することと、0.3Kという極低温で動作する超低消費電力SOIピクセル検出器の開発を行う、挑戦的な研究である。 本年度は、SOIピクセル検出器の設計を行い、実機の作製後、その性能評価を行った。SOI検出器の回路の設計は、前年度からシミュレーションを繰り返し行うことにより、ある程度めどがたち、5月にサブミットした。12月に実機が納品され、室温でトランジスターの基本性能を評価した。トランジスターのIVカーブは、期待通りのもので、個体差も10%程度であった。一方、それを低温に冷却する場合、Idsの立ち上がりが室温に比べて急峻になり、サブ閾値でのトランジスターの作動は難しいこともわかった。したがって、100nWの消費電力を目指すには、現状では難しいことが分かった。 また、本年度は、Al薄膜を用いた超伝導検出器の開発を行い、フォノン検出を目指した。当初、超伝導検出器の歩留りが60%しかでなかったが、SEMによる観察により、その理由は、エッチングによって生じるバリである可能性がわかった。素子作製過程で工夫することにより、バリが生じない素子作製方法を確立した。また、測定においても、きちんと冷却ができ、迷光がはいらないような冷凍機内の検出器治具も設計した。その結果、90%以上の歩留りを達成できた。シリコン基板の裏面から、Am-241のα線を照射し、そのフォノン信号の検出に成功した。
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Research Products
(1 results)