2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26610082
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
清水 亮介 電気通信大学, その他部局等, 特任准教授 (50500401)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 量子光学 / 分光計測 / 非線形光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
自発パラメトリック下方変換(SPDC)過程による二光子生成に擬似位相整合素子を利用することで、所望の量子状態を高効率に生成することが可能になっている。そこで、本年度は、SPDC過程を利用してスペクトル分布が制御された二光子を生成し、そのスペクトル特性を以下の三つの手法を用いて測定を行うことにより、二光子量子干渉計測をフーリエ変換分光計測として適用することの妥当性を検証した。 1. 分光器を使った通常の古典的スペクトル計測 2. 狭帯域の波長可変バンドパスフィルターを利用した二光子スペクトル計測 3. 差周波型および和周波型二光子量子干渉計測 実験では、PPMgSLT素子 (Periodically Poled MgO-doped stoichiometric LiTaO_3)を利用し、二光子生成を行った。LiTaO_3結晶は複屈折性が非常に弱いため、type-IIの位相整合条件による二光子生成において、広帯域にわたる二光子生成が可能なことが期待出来る。そのため、実験では生成された二光子の帯域幅を確認することにも着目した。測定結果された結果は、全てに手法で測定された結果で同様のスペクトル分布を示唆する結果が得られた。特に、3項目の実験において、二光子量子干渉にから推定したスペクトル分布が、他の手法から得られたスペクトルと一致したことにより、二光子量子干渉を高次のフーリエ変換分光として利用することの妥当性を示すことに成功した。また、PPMgSLT素子により、40nm以上にわたる広帯域スペクトルを持つ二光子が生成可能であることを確かめた。さらに、量子干渉の明瞭度が二光子スペクトル分布の対称性により決定されていることを直接的に示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、量子光学研究分野で研究されてきた二光子量子干渉を分光計測分野で確立されているフーリエ変換分光と融合させ、単一光子レベルでの非線形分光法として確立することを目指している。その第一段階として、比較的単純な物理過程であるSPDC過程より生成された二光子の周波数領域のスペクトルを二光子量子干渉波形をフーリエ変換することにより推定し、他の分光計測手法と比較することにより、提案の妥当性を実証することに成功した。得られた結果をまとめ、学術雑誌に投稿し、掲載されたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
半導体中の励起子分子状態からカスケード放出される二光子に対して量子干渉計測を行い、得られた和周波および差周波干渉波形と励起子分子状態および中間状態との関係を明らかにすることが最終目的である。これまでに、CuCl単結晶中のポラリトン-ポラリトン散乱過程から生成される光子対の観測に成功しているが、試料による生成効率のばらつきも多く、安定的に観測できるようになっていない。そこで、CuCl単結晶からの二光子生成が安定的に観測できるよう、技術開発を進める。これまでの実験結果から、分光器を使った二光子検出装置の検出効率が低いことが判明している。そこで、今後は、分光器を干渉フィルターに置き換えることにより、検出系の光学損失を低減させて、検出効率の向上を図る。
|
Causes of Carryover |
レーザー装置や単一光子検出器に不具合が発生したため、予定外の修理費が発生した。そこで、計画していたクライオスタットの改造をとりやめ、修理費用に充てたため、その差額分として次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の進展に伴い、特注の光学フィルターの性能値を再検討したところ、当初の見込みよりも高い性能値が必要であることが判明した。さらに、フィルターの購入費用を再度見積を行ったところ、当初予定していた以上の金額が必要であることが分かった。 そこで、予定外に発生した修理費用の金額を加味し、クライオスタットの改造を取りやめることとした。そのために生じた次年度使用額と、本来、フィルター用に見込んでいた物品費を合算し、特注フィルターの購入に充てる。
|
Research Products
(4 results)