2016 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical guiding principle for thermoelectrics deesigning based on a new band-shape optimization strategy
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26610101
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒木 和彦 大阪大学, 理学研究科, 教授 (10242091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱電効果 / バンド形状 / 無次元性能指数 / ヴィーデマン・フランツ則 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は大きな無次元性能指数を持つ熱電物質を理論設計するうえで重要と考えられる、二つの成果を上げることができた。一つは、熱電物質として近年注目を集めているSnSeに関する研究である。この物質は合成時に自然にホールが入ることが知られているが、人工的にホールおよび電子をドープできた場合の熱電特性を、第一原理計算をもとに予想した。ホールが入った場合でも無次元性能指数は2を超え、電子が入った場合には無次元性能指数が3近くなることを示した。電子状態の詳細を調べ、これらの大きな熱電性能の起源をバンド形状の観点から明らかにした。ホールが入った時には、我々が以前より提唱しているプリン型バンド形状が有効であるのに対して、電子が入った場合には、擬一次元的なバンド形状が熱電効果に有利に働くことがわかった。この成果は現在、米国 Physical Review B 誌に投稿中である。 もう一つは、バンド形状と熱電特性の関係を一般的に調べた研究である。バンド端が平坦で、そこから離れると強い分散を持つプリン型バンドは、電力因子が大きいのみならず、電気伝導度と電子の熱伝導度との比を与えるヴィーデマン・フランツ則において、通常のバンド構造よりも、熱伝導を抑制する効果があることを示した。理想的なプリン型バンド形状においては、大きな電力因子と小さな電子熱伝導度が組み合わさることで、現実的な格子熱伝導度を仮定したときに無次元性能指数が4程度になることを示した。この成果は、米国 Jounal of Applied Physics に掲載が決定している。
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