2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26610106
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70251486)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低温物性 / 超伝導 / トポロジカル超伝導 / 交差相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超流動ヘリウムの典型的実験手法である「ねじれ振り子法」を超伝導研究に応用し、超伝導を力学的に観測する手法を確立するとともに、トポロジカル超伝導で期待される熱流―回転交差相関効果の探索を行うものである。超伝導体表面から磁場侵入長程度の深さの電子は、超伝導物質の振動に追随せずに、電子の質量超流動として検出される可能性がある。これを実現するため、超高感度のねじれ振り子を開発し、超伝導転移を回転慣性の変化として検出する。さらに、ねじれ振り子では超伝導物質に誘起された角運動量を高い精度で観測できることから、最近トポロジカル超伝導体に対して予言されている、熱流と角運動量の交差相関効果(円柱試料軸方向に温度差を与えると、円周方向に角運動量を生じる効果、及びその逆効果)を実験的に探索する。 平成26年度は、ねじれ振り子を製作してその高感度化を図るとともに、実験に用いる回転クライオスタットの整備を完了した。超伝導転移に伴う共振周波数変化を検出するためには、共振周波数の温度変化が小さいことが要求される。この要求を満たしうる材料として、5056アルミニウム合金とコインシルバー(銅銀合金)をそれぞれ用いてねじれ振り子を製作し、1K付近までの動作テストを行った。周波数安定度を更に1桁程度高める必要があることが判明し、現在振り子Q値の改善方法を検討している。また慶應大学に設置している回転クライオスタット装置を、超流動ヘリウムの回転実験を行いつつ温度制御の高安定化とヘリウム消費量の削減を進め、超伝導の実験が行えるよう整備を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ねじれ振り子については、すでに約100万の高Q値を達成し、Ir等の低Tc超伝導体で超伝導転移の検出を試みる段階に来ている。また回転クライオスタットの準備が完了し、交差相関効果の実験を行える見通しが出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
ねじれ振り子法と回転クライオスタットの組み合わせにより、トポロジカル超伝導体の交差相関効果を観測する手法の確立に重点を置いて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
ねじれ振り子検出系用に購入を計画していたSQUID素子を、当分は既存の素子で代用できる見通しが立ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にSQUID素子を購入する予定である。
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Research Products
(8 results)