2015 Fiscal Year Research-status Report
ゼロ次元応力源を利用した鉱物の弾性特性測定法の開発
Project/Area Number |
26610136
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 順司 北海道大学, 総合博物館, 准教授 (60378536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 秀巳 静岡大学, 理学部, 講師 (70456854)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 弾性定数 / 流体包有物 / マントル捕獲岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,流体包有物をゼロ次元の応力源として利用する鉱物の弾性特性測定法の開発に挑んだ.地球内部を探る手法の中で地震波トモグラフィーは傑出した存在感を示しつつあり,その解釈に必要な鉱物の弾性特性の重要性も増しつつある.しかし,既存の弾性特性には問題がある.鉱物の弾性特性は化学組成に強く依存するにも関わらず,天然鉱物から得た値は少なく,しかも測定値の有効数字は2桁程度である.地震波速度構造の精密な解釈には鉱物の弾性特性の精度・確度を共に高める必要があろう.そこで本研究では,微小な天然鉱物でも精度良く鉱物の弾性特性を測定できる新たな手法の開発に挑んだ. 平成27年度は,前年度から引き続いてサファイアアンビルセルの導入とその調整ならびに流体密度測定精度の向上作業をおこなった.二酸化炭素密度の測定精度は0.01 g/cm3をはるかに下回るレベルに達しており,本研究で必要となる精度に近づきつつある.さらに,カンラン石の弾性変形を利用した圧力マーカーの作成にも着手するとともに,窒化ボロンを利用した圧力マーカーの作成作業も開始した.窒化ボロンは流体との反応性が低いため,超臨界二酸化炭素を主成分とする圧媒体中でも圧力マーカーとして機能する可能性が高い.また,高温環境における耐性も重要である.一般的にアンビルセル実験においてはルビー蛍光を圧力マーカーとして利用することが多いが,400°Cを超える環境では使えない.窒化ボロンやカンラン石であれば本研究が対象とする高温環境でも使用できる可能性が高い.今後,両者を用いることにより,より確度の高い圧力値を得ることができるようになるだろう.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属組織(北海道大学総合博物館)が平成26年度より耐震改修工事によって使用し難い環境になった.平成27年度は当該研究の実施スペースであった研究室・実験室の移転があり,時間的にも研究環境的にも支障を来した.しかし,研究スペースの環境整備は平成27年度内に完了させたため,今後は遅れを取り戻すペースで当該研究に取り組む予定である. ペースを速められる理由を簡単に記す.従来は換気や電源容量の制限によって実施できない研究作業があったが,この度の研究スペースの移転によってその辺りの制約はほとんど解消されたため,予定以上の研究作業をおこなえるようになったためである.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は当該研究の最終年度に当たるため,計画していた研究作業を完遂できるよう努める.具体的には,導入したサファイアアンビルセルへの二酸化炭素の封入に関して,方法の改良とセル内鉱物中流体包有物の分光測定を実施する.セル内の圧媒体は二酸化炭素であり,鉱物中流体包有物の主成分も二酸化炭素であるため,それらの測り分けが可能かどうかが本研究の技術的な難所になると想定している.その対策については様々なアイデアを有しているため,実現可能性は高いと考えている.
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属組織(北海道大学総合博物館)が平成26年度より耐震改修工事によって使用し難い環境になった.平成27年度は当該研究の実施スペースであった研究室・実験室の移転があり,時間的にも研究環境的にも支障を来し,この状況が平成27年度末まで続いた.そのため,研究計画全体に遅れが生じ,物品の導入にも少しずつ遅れが出ている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究スペースの環境整備は平成27年度内に完了させたため,今後は遅れを取り戻すペースで当該研究に取り組む予定である. ペースを速められる理由を簡単に記す.従来は換気や電源容量の制限によって実施できない研究作業があったが,この度の研究スペースの移転によってこの点に関する制約はほとんど解消されたため,予定以上の研究作業をおこなえるようになるためである.
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