2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26610139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今西 祐一 東京大学, 地震研究所, 准教授 (30260516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高森 昭光 東京大学, 地震研究所, 助教 (00372425)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 磁気浮上 / 重力計 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気浮上式重力計としてすでに長年の実績のある超伝導重力計は,メーカーにより少しずつ小型化の改良がなされてきた.その最新型であるiGravが導入され,松代観測点(長野県)において既存のTT70型との並行観測を行う機会を得た.これは,機器のドリフトや感度の検定を目的とするのみならず,同一の地盤振動を加えられたときの重力計の応答を検定するという意義ももつ.わずか2メートルの距離をへだてて置かれた2台の重力計は,当然予想されることとして,非常によく似た重力変化の記録を生み出した.ところが,周波数帯域に分けて詳しく調べると,周期数百秒の帯域において,TT70とiGravの静穏時の記録がまったく似ていないことがわかった.2つの記録からコヒーレンスを計算すると,周期数百秒の帯域においてはコヒーレンスが非常に低くなっている.さらに,同じ坑道内に設置された広帯域地震計STS-1の記録とも比較すると,この帯域では三者三様でいずれも異なっていた.これまでの世界各地での比較観測の結果,同じ場所に置かれた超伝導重力計とSTS-1を比較すると,周期1000秒程度から短周期側においては超伝導重力計のほうがノイズレベルが高い傾向があることが知られている.このことは,その帯域において,超伝導重力計に器械的なノイズが混入していることを表している.可能性として有力なのは,磁気浮上しているテストマスの固有振動モードの影響である.装置の傾斜信号と重力信号とのコヒーレンスを計算すると,球の固有振動周期の付近では1に近い値を示すことから,超伝導重力計に特有の器械的なノイズの原因として装置の傾斜の影響が大きい可能性がある.このことは,そもそも磁気浮上式重力計の原理における重要な問題を提起している.シミュレーションによる磁気浮上式重力計のデザインをひきつづき行っているが,この問題を解決する方法の発見には至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
磁気浮上式重力計の実機としての超伝導重力計の特性を分析することは,本研究にとっても非常に重要なステップであったわけだが,新型重力計iGravの扱いに習熟していなかったため並行観測を軌道に乗せることに大幅に手間取ることとなった.また,シミュレーションによる磁気浮上の解析においてソフトウエア上の問題があることが判明し,その対策を試行錯誤で発見しなければならなかったため時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーションによりデザインを絞り込み,試作機の製作を行う.超伝導重力計と並行観測を行い,性能を評価する.
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Causes of Carryover |
今年度,試作のための材料を調達しなかったことと,試験観測を行うための旅費を使わなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間を延長したので,有限要素法ソフトウエアANSYSの契約を再締結し,また材料を調達して試作機を製作し,試験観測を行う.
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