2015 Fiscal Year Research-status Report
高時間分解能な古地磁気変動の解読を目指した高速・高温下磁化測定法の提案
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26610145
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
臼井 洋一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球深部ダイナミクス研究分野, 研究員 (20609862)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 試料振動型磁力計 / 古地磁気学 / 高温測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、古地磁気データを高速に測定できる高温試料振動型磁力計を作成し、それによる大量データの取得を通じ、高時間解像度の古地磁気復元を行うことである。平成27年度は磁力計の加熱機構の候補である赤外線導入加熱装置(サーモ理工社製GA298S)のテストと実験試料の採取を行った。 センサー性能から測定される必要な試料の大きさ(約5cc)を考慮し、直径2cm、高さ1.5cmの玄武岩試料をSiC製の円柱型均熱容器に入れて加熱実験を行った。高速加熱は可能である一方、熱電対により試料内の温度を測定したところ不均質性が存在することがわかった。これを解決するために、試料の中心に貫通穴を開け熱伝導率の高いSiCを貫通させ、温度不均質性を改善する方法を現在試行中である。 試料採取としては、高時間解像度の古地磁気記録の例として、国際深海科学掘削計画の第353次航海により回収された石灰質ナンノ化石軟泥の試料を取得し、測定に着手した。掘削船上で測定された古地磁気記録の解析を行い、サイトU1443で、およそ1500万年前から2000万年前の古地磁気記録が連続的に保存されている可能性がわかった。この結果は航海レポートの一部として公表した。対応するインターバルからLLチャンネルを用い連続試料を採取した。 また、連続試料の測定に備え、ヘルムホルツコイルを用いた低周期環境磁場キャンセル用アクティブシールドを実験室に設置した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は加熱機構を作成し磁力計と組み合わせることと、測定に着手することを目標としていた。赤外線加熱装置により、測定に必要な大きさの試料(約5cc)の加熱には成功したが、連続熱消磁実験に使用可能な程度の温度勾配の軽減は未だ達成できておらず、結果として高温磁力計の完成に至っていないので、やや遅れているとした。実験試料としては、交流消磁により高時間解像度の古地磁気記録を得られる可能性のある海底堆積物を取得することができた。これは、高温測定結果との比較検討を行う上でも重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
海底堆積物の測定をすすめるとともに、早急に連続熱消磁装置を完成させる。MIセンサによる高感度磁化測定は達成済みのため、平成28年度は加熱機構の均熱性の向上を行う。試料の中心に貫通穴を開け熱伝導率の高いSiCを貫通させ、温度不均質性を改善する方法と、電熱線加熱を比較検討する。 装置が完成後、鉄隕石の高温磁化測定を行い、静磁的相互作用と熱残留磁化方位の関係を評価する。1500万年前から2000万年前の堆積岩を採取し連続熱消磁を行い、海底堆積物の測定結果と比較する。
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Causes of Carryover |
加熱機構の作成が遅れているため、当初予定していた加熱装置および磁気シールドケースの購入を見送った。そのため未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高温磁力計の完成に向け、専用の加熱装置および磁気シールドケースを設計・購入するために使用する。
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[Journal Article] Indian Monsoon Rainfall2015
Author(s)
Clemens, S., W. Kuhnt, L. Levay, C.T. Bolton, P. Jaiswal, X. Ding, S. Kim, K. Gariboldi, J.B. Kirkpatrick, P. Anand, L. Giosan, G. Marino, T. Ando, E.C. Hathorne, P. Martinez, M. Bartol, Y. Huang, D. Naik, N. Sager, G. Uramoto, A. Peketi, K. Taladay, Y. Usui,et al.
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Journal Title
IODP Preliminary Report
Volume: 353
Pages: 1
DOI
Int'l Joint Research