2016 Fiscal Year Research-status Report
エクマンパンピング駆動モデル:熱帯海洋変動の原因解明における基盤概念と技術の創出
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26610146
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
見延 庄士郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70219707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小守 信正 国立研究開発法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 主任技術研究員 (80359223)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エクマンパンピング / 風応力 / インドネシア通過流 / ニンガルー・ニーニョ / 季節内変動 / アジョイント |
Outline of Annual Research Achievements |
エクマンパンピングが季節内変動スケールにおいて果たす役割を明らかにするために,0.25度の水平格子間隔を用いた領域モデル実験を熱帯インド洋について行った.これまでは主に線形モデルを用いた数値実験および解析を行ってきたが,季節内時間スケールでは,線形モデルでは表現できない傾圧不安定による変動も大きい.そのため,線形的な応答が重要である領域がどのように分布しているかを明らかにする必要がある.そこで,初期値を変化させた双子実験を行い,その結果が一致する領域をエクマンパンピングが支配的な影響をもたらす領域として同定した.このエクマンパンピングが支配的な領域は100 m水温で評価すると,赤道とそこから南北数度の範囲に限られた.この結果は,風応力そしてエクマンパンピングの働きを現実海洋で理解する上で,重要な情報を与えるものである. アジョイント後方積分版エクマン・パンピング駆動モデルを用いて,エルニーニョの指標であるNino3・Nino4・Nino3.4海域に対する変動の原因追跡を行った.西進するアジョイント赤道ケルビン波と東進するアジョイントロスビー波が重ね合わされるため,対象海域は経度方向に異なるだけにも関わらず,感度が高い海域は時間的にも空間的にも大きく異なることを明らかにした.また,インド洋ダイポールの西極と東極に対しても同様の原因追跡を行った.アジョイント後方積分版は線形システムのため結果を重ね合わせることが可能であり,西極と東極の指標の差として定義されるインド洋ダイポールに関しても適用可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画をやや拡張子し,エルニーニョの先触れとなる暖水蓄積の理論的な説明および,季節内変動におけるエクマンパンピングの評価も研究に含めたために,当初計画自体の実行がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
エクマン・パンピング駆動モデルの実験結果を暖水蓄積のメカニズムにも注目しつつ論文として取りまとめる. また,アジョイント後方積分版エクマン・パンピング駆動モデルについて,その基本的な説明を行い,実験結果を解析した論文を執筆し投稿する.また,論文が受理され次第,モデルコードと実験データとをweb上に公開する. さらにインド洋の季節内変動についてのエクマンパンピングの効果をより詳しく調べるために,部分駆動実験を行いその結果を論文としてとりまとめる.
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Causes of Carryover |
数値モデル実験結果を解析する中で,エルニーニョの先触れとなる熱帯への暖水の蓄積メカニズムをより明らかにするために研究方法を見直し,新たに暖水蓄積に焦点を当てた実験とその解析等が必要となり,論文出版および学会発表を翌年度に行うことにしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文出版費用および学会参加費に使用する.
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Research Products
(10 results)