2014 Fiscal Year Research-status Report
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26610155
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 臣 名古屋大学, 高等研究院(太), 助教 (60397479)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大気光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,主に,(1)音波のイメージング観測に向けたソフトウェアの開発・整備と,(2)波動構造の高度推定に使用するサブカメラ(低廉大気高カメラ)の開発を進めた.大気光画像から自動で波動を検出するため,観測データである画像(全天座標)から地理座標(256 km × 256 km)に変換し,さらに波数空間座標に変換するプログラムを作成した.これにより大量の画像データを効率よく処理することが可能となるとともに,本研究課題のターゲットである音波と,大気光画像によく見られる大気重力波の切り分けが容易になると考えられる.またサブカメラの開発を進め,極めて安価な大気光カメラによって OH 大気光(発光高度約 85 km)のイメージングを成功させた.テスト観測を夏から秋にかけて信楽 MU 観測所内において実施し,既存の大気光カメラ(OMTI)との同時観測をおこなった.10枚程度(約1分間分)の積算画像を作成し,その時間差分(5分)をとることで,OMTI で観測された ものと同様の大気波動構造をサブカメラでも捉えることに成功した.両者のSN比などの詳細な比較はまだおこなっていないが,2つのカメラで,水平波長が数十km以下程度の小スケールの波動構造が得られていることから,信楽から 50 km 程度離れた場所に,このサブカメラを設置することで,OMTI による観測との三角測量から波動パタンの高度を推定することが可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
冬期に信楽の大気光カメラ(OMTI)を用いて,音波モードの試験観測をおこなう予定であったが,サブカメラシステムの開発の遅れから,実施することができなかった.ただし,通常観測モードでの同時観測は夏期から秋期にかけて実施することができている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,初年度に実施したサブカメラシステムと OMTI の同時観測データを解析し,両者で観測された構造の詳細な比較をおこなう.また,音波の観測に最適な観測モードを調査し,OMTI での特別観測を実施する.同時に,サブカメラシステムの設置を進め(滋賀県内を予定),定常観測を目指す.
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Causes of Carryover |
冬期に信楽において,音波モードの試験観測が実施できなかったことによる,出張費と観測機器の消耗品費の未使用分である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度の夏期,あるいは冬期に,2015年度に実施できなかった信楽での試験観測をおこなう予定である.この出張費と観測機器の消耗品費に,次年度使用額をあてる.
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