2014 Fiscal Year Research-status Report
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26610162
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
兵頭 政幸 神戸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (60183919)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 風送塵 / 土壌化 / 磁性粒子 / 超常磁性 / マグネタイト / マグヘマイト / 中国レス / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国黄土高原Lingtaiで採取したレス, 古土壌試料を用いて, 風送塵の土壌化によるMagnetic Enhancementに寄与する二次生成磁性粒子の探査を行った。帯磁率の異なるレス、古土壌を水に溶かした懸濁液を作り,まず,10マイクロメートル(以下ミクロンとする)メッシュの篩を用いて,10ミクロン以上の粒子を分離した.次に,遠心機を用いてStokesの定理を応用して1ミクロン以下の粒子を分離した.その結果,レス, 古土壌のバルク試料をそれぞれ10ミクロン以上, 10~1ミクロン, 1ミクロン未満と3つの粒度帯に分離することに成功した.なお,当初計画していたミリポアフィルターを用いた試料の分離は成功しなかった.原因は,懸濁液の濃度が薄ければ問題なくろ過できるが,実験に必要な量の試料をろ過するためには,大量のフィルターと膨大な時間を要するからである.しかも,試料のロスが大きいため,定量的な議論が困難であり,この方法は用いないことに決めた. 分離後のそれぞれの試料に対して帯磁率と帯磁率の周波数依存性の測定, IRM獲得実験, 磁気ヒステリシス測定, また, バルク試料に対して熱磁気分析を行った.その結果, 古土壌の高い帯磁率を担う磁性粒子のうち強磁性体はマグネタイト(Fe3O4)であること, そして, Magnetic Enhancementに寄与する二次生成磁性粒子の大部分は超常磁性(superparamagnetic ; SP)であること,それらの粒子は10~1ミクロンの粒度帯に集中することが分かった. SP粒子サイズは約50ナノメートル未満であるため, 土壌化起源の二次生成磁性粒子は, 砕屑性のケイ酸塩鉱物粒子中に包有物として存在する可能性が高いことがほぼ確実となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超常磁性粒子が農集する砕屑粒子の粒度帯を絞り込むことに成功したことは,本来の目的の成果である. Magnetic Enhancementに寄与する二次生成磁性粒子の大部分は超常磁性であることが明らかにできたことは、予期せぬ大きな成果である.これは,申請時にはなかった,帯磁率の周波数依存性が測定できる帯磁率計が新規設備として設置されたことによる.
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Strategy for Future Research Activity |
超常磁性粒子が農集する砕屑粒子の粒度帯がレス・古土壌層の年代にも地域にも依らず,普遍的なものであることを検証するために,Lingtaiに加えXifengの試料も用いて分離実験を行う.そして,超常磁性粒子が農集する粒度帯の砕屑粒子のSEMおよびTEM観察を行う.
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