2015 Fiscal Year Research-status Report
薄片測定法によるジルコン年代学の実用化とその八重山変成岩類への応用
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26610164
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
石塚 英男 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (00142349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山内 康人 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (80183771)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 砕屑性ジルコン / テクトニクス / 年代測定 / アジア大陸東縁 / 八重山変成岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年12月4日ー8日に、前年度に十分実施できなかった、沖縄県石垣島に分布する八重山変成岩類と関連する花崗岩類について野外地質調査と試料採取を実施した。調査は「西日本在住研究者による東南極研究セミナー(約20名の参加)」の現地討論会の一部もかねて実施されたため、現地での活発な討論もあり、有意義に終了した。試料は変成岩類と関連する花崗岩類を採取した。 採取した試料は全て通常の岩石薄片を1試料から5枚を作成し、岩石用偏光顕微鏡下で鉱物組み合わせの精密決定を行った。その結果、八重山変成岩の西村ら(1983)による変成分帯のZone III中にZone IVに相当する部分をアルカリ角閃石温度計により新たに見出した。このことは、Zone IVの分布が石垣島北東部だけではなく、同島中央部まで分布することを示している。 次に、偏光顕微鏡観察の結果に基づいて年代測定用の試料の選定を行った。年代測定用の試料は通常より厚い岩石研磨薄片を1試料について、2枚作成し、ジルコンの同定を、岩石用偏光顕微鏡、X線顕微鏡、及び紫外線ランプ下で行った。この同定作業は本研究の一番重要な部分なので、特に入念に行った。結果、昨年度と同じく、X線顕微鏡は通常の使用条件では解像度が悪く、解像度を上げるためには、測定時間を大幅に増やさなければならず、実用的でないことを再確認した。赤外線ランプ下での同定は、ある程度の大きさ(50μm以上)があれば有効であることが判明した。そこで、変成砂岩を対象とした場合は、偏光顕微鏡下で薄片内でのジルコンの分布と大きさを決定する方法を採用した。年代測定は、平成27年12月17日ー19日に九州大学にてジルコンの分離と樹脂への埋め込みを終了したが、測定は次年度にずれ込んだ。 その他、本年度は関連する研究者との情報交換(沖縄、東京)と関連する研究の発表(東京)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗状況として、沖縄県石垣島の野外地質調査と試料採取については当初の計画より1年多く費やしたが、内容的には計画どおり順調に進んだ。特に、亜熱帯という厳しい気象状況を考慮した調査時期の選定は適切であった。その後の、試料処理と岩石用偏光顕微鏡による精密薄片記載も順調に進んだ。特に、石垣島の変成分帯に関して得られた新知見は、同島の変成温度構造の再検討を要請する重要なことである。 一方、年代測定の対象となるジルコンの変成砂岩における岩石薄片上での同定には、昨年度と同様に、思いのほか時間を費やした。理由としては、分析に適した大きさのジルコンを薄片法では確保しがたいためである。すなわち、薄片上で分析をする時には、ある薄片面上に分布するジルコンしか分析対象にできないので、その面上に表れたジルコンの分析面積が必ずしも最大粒度の面積にはならず、このことが、分析に適した、すなわち、分析に適した大きさの分析面積を持つジルコンの分布頻度を悪くし、結果的に、分析ジルコン数を確保出来ないことである。このことが、今回の評価「やや遅れている」の大きな原因である。そのため、今年度は岩石を粉砕してジルコンを取り出して、樹脂に埋め込んで、研磨して年代測定するという従来の方法の併用も実施した。すなわち、薄片法で測定できるジルコンの年代値は、当初の目的どおり、組織に対応して解釈し、樹脂に埋め込んだジルコンは試料の持つジルコン供給地の年代分布情報として利用することになる。今後は、この薄片法と従来の樹脂への埋め込み法を併用する予定である。 その他、本年度は八重山変成岩に関連した変成岩として、長崎県野母半島の変成岩と山口県錦町の文献検索を前年度に引き続いて行い、平成28年度に実施する野外地質調査の候補地の選定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で八重山変成岩に対する野外調査と試料採取がほぼ終了したので、平成28年度は長崎県野母半島と山口県錦町地域の野外地質調査を行い、分布する変成岩類の産状の把握と試料採取を実施する。両地域の具体的な調査地点は前年度までの文献検索を基に選定してあるので、問題はない。いずれの地域も現地で車を借り上げて調査を実施する。これらのために必要な調査・研究旅費を国内旅費、調査に必要な消耗品費、及び車の借上げ料金をその他の経費として計上した。なお、山口県錦町地域の野外地質調査と試料採取は、本報告書作成以前の平成28年4月12日ー15日に実施した。 採取した試料の岩石薄片を作成して、岩石用偏光顕微鏡で観察と記載を行う。その際、変成鉱物組み合わせの精密解析とジルコンの産状を主眼にして行う。その結果、妥当と判断された試料は、1試料から複数枚の分析用薄片を作成して、年代測定を実施する。なお、前年度に作成した試料は年度始めに優先的に分析を行う予定である。多数枚の分析薄片が必要となったために追加する試料は、年度始めに分析試料を作成し、分析を実施する。関連して、薄片内でジルコンを効率よく探し出す方法の開発も進める。また、薄片法では十分なデータが得られない事態を想定した岩石粉砕によるジルコンの取り出しと年代測定も実施する。これらの試料処理と分析に際して必要となる経費を国内旅費、とその他の経費(分析機器の維持費と消耗品費、役務費)として計上してある。 得られた成果の発表は、関連学会や関連雑誌を利用して、随時、実施する。また、最終年度なので報告書の作成を行う。これらのために必要となる経費を旅費とその他の経費(報告書の作成費)として計上してある。
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Causes of Carryover |
必要とする一部の消耗品が購入できなかった為に次年度使用額(48,199円)が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に必要とする消耗品を購入する。
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Research Products
(4 results)