2015 Fiscal Year Research-status Report
重金属安定同位体比の精密測定に基づく新たな古海洋プロクシの開発
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26610182
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宗林 由樹 京都大学, 化学研究所, 教授 (50197000)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋科学 / 化学海洋 / 地球化学 / 環境分析 / 環境変動 / 古海洋 / 重金属 / 安定同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
堆積物中Mo, W安定同位体比精密測定法の開発.堆積物試料の分解,エチレンジアミン三酢酸基をもつキレート樹脂NOBIAS Chelate PA-1と陰イオン交換樹脂AG1-X8を用いる化学分離,蒸発乾固・再溶解,MC-ICP-MS測定条件などの検討を進めた. 海水中Ni, Cu, Znの安定同位体比精密測定法の開発.NOBIAS Chelate PA-1を用いて海水数100 mL~2 Lから3元素を濃縮し,陰イオン交換樹脂AG MP-1Mを用いて3元素を相互分離する方法を開発した.ブランク値を十分に低く抑え,共存元素を効果的に除去し,3元素を定量的に濃縮分離することに成功した.マルチコレクター型ICP質量分析装置(MC-ICP-MS)の測定条件を最適化した.北太平洋における3元素の濃度・同位体比の鉛直分布を得ることができた. 自動濃縮装置の改良.海水中微量元素の濃度測定のために開発した自動濃縮装置を改良し,同位体比測定のための前処理にも適用できるようにした.大量の海水試料を処理できるようにペリスタルティックポンプを搭載し,共存元素の除去のため流路とプログラムを改良した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね計画どおりに進展し,多数の学会発表を行った.堆積物中Mo, W安定同位体比精密測定法は平成28年度中に完成できる見込みが立った.
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Strategy for Future Research Activity |
最大の問題は京都大学からMC-ICP-MSがなくなったことであるが,東京大学,総合地球環境学研究所,海洋研究開発機構などの共同利用装置を活用して研究を進める. 堆積物中Mo, W安定同位体比精密測定法,海水中Ni, Cu, Znの安定同位体比精密測定法を完成し,論文を投稿する. 堆積物中Mo, W安定同位体比精密測定法を日本海の堆積物コア試料に適応し,酸化還元状態の変動を復元する. 海水中Ni, Cu, Znの安定同位体比精密測定法を海水試料に適応し,太平洋における濃度と同位体比の分布を明らかにする.
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Research Products
(12 results)