2014 Fiscal Year Research-status Report
ナクライト水質変成鉱物のカルシウム同位体から探る火星表層での岩石-水相互作用
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26610185
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
三澤 啓司 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (70212230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 成一 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, 理化学グループ長 (60210788)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カルシウム / ストロンチウム / バリウム / 同位体 / ナクライト / オリビン / 水質変成 |
Outline of Annual Research Achievements |
Yamato 000593ナクライト隕石を粉砕し、構成鉱物フラクションを集めた。 NIST SRM915a カルシウム標準試料溶液を用いて、表面電離質量分析計によるカルシウム同位体測定の最適条件を探した。Ca-48については、ファラデーカップの可動範囲の制約からセッティングがうまくいかず、これまで以上の高精度で測定することは出来なかった。 並行してカルシウムスパイク中の他のアルカリ土類元素(ここではストロンチウムとバリウム)が与える影響を、Ca-48スパイクを用いて評価した。カルシウムスパイク中にかなりの量のストロンチウム、バリウムが含まれていることが判明した。アルカリ土類元素の同位体分析のためには、カルシウムスパイク中のストロンチウム、バリウムを取り除く必要がある。 火星隕石ナクライトの水質変成年代を求めるために、NIST標準物質からRb-87, Sr-84スパイク逆定量用の標準溶液を調整した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ca-42, Ca-43スパイクを混合してCa-42,43ダブルスパイクを調整する計画であったが、カルシウムスパイク中のストロンチウム、バリウム含有量がアルカリ土類元素同位体研究を遂行するうえで無視できない量であること、またその同位体組成が天然の同位体組成と異なることがわかった。また、カルシウム標準溶液を調整するためのNIST SRM915bにも相当量のストロンチウム、バリウムが含まれていることが判明した。今後の同位体分析において、表面電離質量分析計だけでなくマルチコレクターICP質量分析計を使用する場合、Sr-88++がCa-44+の妨害シグナルとなる。そこで、カルシウムのスパイク溶液、標準試料溶液を調整する前に、妨害イオンや研究対象としている同位体に影響を与えると思われるストロンチウム、バリウム、軽希土(ランタン、セリウム)を除去する化学分離法を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
鉱物分離を進めたが、まだオリビンに富むフラクションには輝石などの不純物が含まれていることから、ハンドピッキングによりオリビンだけを選別する必要がある。 今後、濃度と同位体組成が既知のルビジウムおよびストロンチウム標準溶液と混合して、逆定量によりスパイク濃度を求める。 カルシウムダブルスパイクを調整する。Ca-48の測定精度の向上に努める。とりあえず、やまとナクライト隕石全岩試料について、カルシウム安定同位体分析をおこなう。
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