2014 Fiscal Year Research-status Report
Balmer-α線を用いた超高温プラズマ中陽子温度揺動の時空間構造の計測
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26610191
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 恵介 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10637705)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中性粒子 / 高ダイナミックレンジ分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には,Balmer-α線プロファイル高速計測システムの開発を行った. まず,二次元高速光検出器を開発した.研究室保有の64チャンネルを有する光電子増倍管(浜松ホトニクス,H7546A,波長方向チャンネル数:8,観測可能視線数:8),光電子増倍管用高圧電源(浜松ホトニクス,C9525),64 chアナログ・デジタル変換器(General Standards,PCIe-16AI64SSC)のほか,専用の64 chの電流電圧変換回路を作成することで,これまでより100倍以上高い200 kHzでの計測周波数(時間分解能5 μs)を達成した.今回開発した光検出器は,これまで研究代表者が用いてきたCMOSカメラと比較し,素子数が少なく,素子サイズが大きい.この光検出器の素子サイズにマッチするよう,研究室で保有している高スループット分光器を改良した. 具体的には,分光器の結像素子として用いてきた,焦点距離150 mmのカメラレンズ(OLYMPUS, Zuiko Lens ED 150mm f2.0)を取り外し,焦点距離1,000 mmの天体望遠鏡(Vixen, A105M)を取り付け,スペクトルをこれまでより8倍大きく結像するようにした.これにより,波長分解能0.2 nm,計測波長範囲1.6 nmを達成した. 本計測システムを実際に核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)に適用し,その発光の空間8点を分解して計測を行った.特に,アナログ・デジタル変換器にLHDで共通のクロック信号を入力することにより,他の計測器と同期した計測が可能となった.発光信号が計測されていることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標であったBalmer-α線プロファイル高速計測システムの開発を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,計測結果の詳細な解析を行う. 特に,計測したスペクトル裾部に波長シフトが,空間依存性を持って見られることが明らかになってきた.これはポロイダル方向に回転するイオンとの荷電交換衝突により生成した水素原子からの発光である可能性があり,他で計測されているプラズマフローとの計測結果と比較を行う. 一方,新たに設置した観測ポートの透過率が予想の3割程度と小さいことが明らかになった.そのため信号ノイズ比が,想定していたものより小さい.平成27年度に,当初の計画では空間掃引システムを開発する予定であったが,まずは信号ノイズ比の向上を目指す.
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Causes of Carryover |
電流電圧変換回路を自作したため,金額に余剰が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計測システムのスループット改善のために,光学素子を購入する予定である
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