2014 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ照射細胞シートとステントの動脈硬化性疾患治療への応用
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26610193
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
森 晃 東京都市大学, 工学部, 教授 (60219996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 千尋 東京都市大学, 工学部, 助教 (00570699)
平田 孝道 東京都市大学, 工学部, 教授 (80260420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / ステント / 細胞シート |
Outline of Annual Research Achievements |
脳、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患治療では、狭窄血管部位を広げるステント留置法があるが、ステント再狭窄の問題などが重要な課題ある。プラズマイオン照射により表面改質処理をしたカーボンナノチューブ(Carbon NanotubeCNT)には通電性があり細胞間連結作用があると考えられる。そこで、脳、心筋梗塞部位再生にCNTを足場にした細胞シートを開発して組織再生とステント表面に表面改質処理CNTを足場にした血管内皮細胞を増殖させたステントを開発を行うことを考えた。 本年度は、名城カーボン社製のFH精製タイプ,FHタイプ,APJタイプの三種類のCNTを使用した。分散液は全てH2Oベースとなっている。FHとはFe触媒を使用し,不活性ガスにH2を用いていることから双方の頭文字を取ったものである。APJタイプはArk Plasma Jet法の頭文字が由来である。まず初めに,この三種類のうちどのCNTが最も細胞培養に適しているのか調査を行った。 方法は、FH精製タイプ,FHタイプ,APJタイプのCNTをそれぞれ200μlずつカルチャーカバーガラス上に滴下し,ヒータを用いて水分を蒸発させた。その後,スピンコータを用いてエタノール100ulを滴下して風乾させた。この工程は最初の実験操作でCNTが剥離してしまったのでCNTの剥離を抑える目的で追加した。エタノール塗布後,カルチャーカバーガラスを35ml dishの中に入れ,NIH3T3を10000[cells/ml]の濃度で2mlずつ播き込み,定着する様子を観察した。この実験は6回繰り返された。結果は、FH精製タイプのみが確実な細胞の定着が観察された。この結果からFH精製タイプが最も細胞シートあるいはステント表面へ細胞を増殖させるために適していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CNTとは黒鉛(グラフェン)やダイヤモンド,フラーレンと同様に炭素の同素体の一種である。円筒構造をとっており、側面はグラフェンを丸めたような形であり,先端はフラーレンの半球で塞がれている。CNTには細胞間連結作用があり、FH精製タイプ、FHタイプ,APJタイプの中で、FH精製タイプが最も適していることが確認された。さらに、まだ2回の実験のみであるが、FH精製タイプCNT上に細胞との親和性を持たせるために、プラズマイオン照射による表面改質処理つまりプラズマアクティベーションを用いた官能基形成を試みて細胞増殖実験を試みた。このプラズマアクティベーション処理は、酸素プラズマ中による酸素イオン照射を行い、CNT表面に生体適合に適している官能基(水酸基:OH、カルボキシル基:COOH)を形成させることであるが、FH精製タイプの時よりもさらなる細胞増殖効果を観察しているので、今後この方法で細胞シート及びステント上で実験を行う基礎的方法を確立したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、プラズマを照射することによって親水基を付加し、生体適合性の向上を図るため、プラズマアクティベーション処理を施したFH精製タイプCNTを使用する。細胞シート作成では、温度応答性ポリマーを表面に固定した培養皿を使用する。この培養皿は器材表面が32度を境に可逆的に疎水性、親水性に変化する。温度を20度にして30分待ち、無傷な細胞がシート状に回収できる。この培用皿上にCNTを添加して、シートとCNTの定着状態を光学顕微鏡等により観察し評価をおこなう。さらに、(チタン)-Ni (ニッケル)合金線(直径0.15m)をステント内径2~3mm、長さ20mmにダイヤモンドブレード編組し、ステントを作成する。ステント上にCNTを添加してステントとCNTの定着状態を光学顕微鏡等により観察し適合性評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
旅費をできる限り安くすることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品を購入する予定です。
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