2015 Fiscal Year Annual Research Report
巨大自己集合体の規則的運動制御に向けた走査NMR顕微鏡による分子レベル動態解析
Project/Area Number |
26620001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00155011)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子自己集合体 / 走査型NMR顕微鏡 / 局所観測 / 分子の運動 / 動的核分極NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
「走査NMR顕微鏡」のプローブの完成にはことのほか時間を要しており,「走査NMR顕微鏡」による空間分解の信号観測には未だ至っていない。今後も完成に向けて研究を進めていく。しかし,本研究で目指している「水中に浮揚する巨大な分子自己集合体近傍の空間分解能を持ったNMR信号観察」を実現でき,かつ「走査NMR顕微鏡」と相補的な役割を担う「XバンドESRとNMR信号観測を合体させた動的核分極によるNMR信号増強(DNP-NMR)」を本NMR分光器により観測する研究は進んだ。 1.両親媒性ニトロキシドラジカル分子を合成し,これを粒径が異なる卵黄レシチンのベシクル(粒径300~500nm)およびジャイアントベシクル(粒径6~10μm)の二重膜に取り込ませベシクル近傍の局所的な水の1H-NMR信号を観測した。動的核分極によりいずれのベシクルについても30倍以上の信号増強に成功した。 2.水溶液試料に動的核分極に必要なマイクロ波照射を~10Wまであげると,発熱によりベシクル分撒水溶液がガラスキャピラリ-試料管中を移動して測定ができなくなる不都合を解消することに成功した。 3.卵黄レシチンと両親媒性アゾベンゼン誘導体の混合ベシクル(粒径100nm)に紫外光を照射すると,アゾベンゼン誘導体の光異性化によりベシクル径が大きくなる。このベシクルの二重膜に,1.の両親媒性ニトロキシドラジカル分子を取り込ませ,光照射により引き起こされたベシクル径の変化による,ベシクル表面近傍の水分子の流動性の変化を,DNP-NMR観測により検出する試みを行った。水分子の流動性の大きな変化は確認できなかったが,これはベシクル粒径の変化率が小さいかったためと考えられる。
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Research Products
(3 results)