2014 Fiscal Year Research-status Report
非選択励起多周波混合パルスEPR法によるタンパク質の構造解明
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26620003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三野 広幸 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70300902)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | EPR / ELDOR / 多周波共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では新しいパルスEPR法として非選択励起多周波混合を開発し、この手法をタンパク質一般に適用しうる汎用測定法とする。本研究では次の2点を達成する。①これまで困難であった低濃度での生物試料のパルスEPRでの測定を実現可能にする。②現在普及しているPELDOR,ESEEMなど様々なEPR手法においてこの手法を適用し有効性を評価する。 【I.多周波混合用マイクロ波ブリッジの製作】本年度は多周波混合用マイクロ波ブリッジの製作に焦点をおいた。独立したマイクロ波源から位相、強度を調整した後混合、増幅した後パルス化して試料に照射する。信号の検出は位相をずらした(0°90°)2系統で行い高速デジタルオシロスコープに取り込み、さらに高速デジタルオシロスコープでリアルタイムに演算を行い位相の補正を行った。 安定に測定ができるように周波数安定性を向上させるように改善を進めている。 導入するマイクロ波の数を制限することを試みている。 【Ⅱ.時計タンパク質Kaiをモデル系とした測定手法の確立】 測定法のモデル系としてKaiBを使っている。 生物は24時間周期の時計機構を内在している。そのうち藍色細菌の時計機構は最も研究が進んでいる。 KaiA, KaiB, KaiCと呼ばれる3つのタンパク質を試験管内で混ぜ合わせるだけでリン酸化レベルは24時間周期を示す。3つのタンパク質の構造はすでにX線結晶構造解析で明らかになっているがそのメカニズムはわかっていない。スピンラベルをとりつけたKaiBタンパク質を用いてPELDOR法による測定をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定系に関してはおおむね順調に進んでいるが、技術的改良が必要である。 試料系に関しては順調に進んである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していたマイクロ波源は測定が安定しないため、最初は数を減らして測定条件を安定した状態で研究を進める。
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Causes of Carryover |
マイクロ波発振器の購入を次年度とした。当初予定の発振器が安定性がわるく、部品の選定のため購入を遅らせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
【測定システムの製作】マイクロ波アンプを導入し、システムを作成する。 【時計タンパク質Kaiの構造変化】Kaiタンパク質を用いてタンパク質測定一般に関わる諸問題への適用例を示す。実際の日周リズムの原理解明に手法を適用する。 それぞれのタンパク質にスピンラベルを装飾し距離測定を用いて会合状態の変化を調べる。【光合成タンパク質のスピン間相互作用の観測】光化学系Ⅱは多くのタンパク質から構成される複合体である。複合体の個々のサブユニットにラベルを導入した超複合体での立体構造配置を明らかにする。
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