2015 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロンをメタラサイクル中間体の反応素子とする触媒反応の開拓
Project/Area Number |
26620022
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 達 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00333899)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘテロ環 / アルキン / ニトロン / 異性化 / カスケード反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では医薬品創成の鍵となる含窒素ヘテロ環の革新的構築法として、ニトロンを活用する新規遷移金属触媒反応を開拓する。ニトロン炭素―窒素二重結合をアザメタラサイクル中間体形成の構成成分とする新規触媒反応を基軸とする反応開発を目指し幅広く探索を行った。 (1)ロジウム触媒を用いた含窒素ビシクロ骨格の迅速構築法の開発 ニトロンを有するアルキン化合物の触媒的分子内反応はヘテロ環化合物を合成する手法として期待できるが、これまでの研究はオルトアルキニルベンズアルデヒド由来のニトロン化合物を反応基質とするπ酸性金属触媒反応に限定されていた。このため、ニトロン連結位置(炭素or窒素)、連結部位(アルキル鎖、ベンゼン環等)、金属触媒の適切な選択により多様なヘテロ環骨格を網羅的に構築する方法論が開拓できると考えられる。この構想のもと今回我々はニトロン窒素とアルキンをアルキル基で連結した基質に対してロジウム触媒を作用させた結果、含窒素ビシクロ骨格が効率的に構築できることを見出した。特に本反応に対して臭化水素酸を添加させることが重要であることを見出した。これまで共触媒として汎用されていたカルボン酸類では低収率にとどまる。ロジウム/臭化水素酸共触媒系は前例のない反応系である。反応機構解析の結果、本反応はロジウム触媒によるアルキンからアレンへの異性化の後に、[3+2]付加環化反応と窒素原子の[1.3]転位を経て生成物に至るカスケード反応であると考えられる。
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