2016 Fiscal Year Research-status Report
有機元素ハイブリッド型多座配位子を活用する異種二核金属錯体触媒の創製と利用
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26620024
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷹谷 絢 東京工業大学, 理学院, 准教授 (60401535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに申請者が独自に設計・開発した6,6”-bis(phosphino)-2,2’:6’2”-terpyridineをN,P-配位子として用いることでアルミニウム,ガリウム,インジウムを配位子として持つパラジウム錯体の合成に成功した。本年度は,これらの反応性について徹底的に検討した。その結果,これらの錯体の中でもとりわけアルミニウム-パラジウム錯体がシランの活性化反応に極めて高い触媒活性を示すことを見出した。すなわち,様々なカルボニル化合物のヒドロシリル化反応や,アルコールの脱水素シリル化反応が円滑に進行し,対応する還元体やシリルエーテルを良好な収率で与えることがわかった。一部の反応基質については,従来のパラジウム錯体を用いるよりも触媒活性や選択性,副反応の有無などにおいて,優れた結果を与えることも分かった。これらの知見は,本二核錯体の有用性を実証するものとして重要である。現在,本反応の一般性の拡大とそのアルミニウム配位子の特異な反応性の起源について調査を行っている。 また,6,6”-bis(phosphino)-2,2’:6’2”-terpyridineに代わる新たなN,P-多座配位子を用いることで合成した様々な二核金属錯体の反応性について調査した結果,通常の金属錯体にはみられないユニークな錯体反応を見出すことができた。本錯体の触媒反応への利用と,本反応系における金属配位子の効果についても,現在調査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6,6”-bis(phosphino)-2,2’:6’2”-terpyridineをN,P-多座配位子として利用することで合成した二核錯体が,触媒反応に利用可能な事を実証することに成功したから。これらの結果は,本配位子設計の有用性を実証するものであり,今後二核金属錯体の利用を推し進める上で大変重要な知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
6,6”-bis(phosphino)-2,2’:6’2”-terpyridineをN,P-多座配位子として利用する二核錯体の触媒活性についてさらに調査を行い,従来の錯体触媒ではできない反応の実現を目指すとともに,そのユニークな反応性の起源を調査する。 また,6,6”-bis(phosphino)-2,2’:6’2”-terpyridineに代わる新たなN,P-多座配位子についても,その特徴を明らかにすべく,触媒反応への利用を推し進める。
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Causes of Carryover |
有機元素ハイブリッド型多座配位子を利用して合成した二核錯体について反応性を検討したところ,当初検討していた金属に加え,他の金属錯体も高い触媒活性を示すことを最終年度に見出した。また,その反応機構解析を行ったところ,予期してなかった中間体が存在することが明らかとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新しい金属錯体の触媒活性について検討を行い,その合成化学的有用性を示す。また,中間体の構造解析と反応性の調査を通して,反応機構を明らかにするとともに,二核錯体の金属の組み合わせの効果について明らかにする。
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Research Products
(11 results)