2014 Fiscal Year Research-status Report
分子内三重閉環メタセシスによる縮合多環ヘテロアヌレン類の合成法の開発
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26620027
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
坂本 健吉 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50187035)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子内閉環メタセシス / 縮合多環ヘテロアヌレン / シクロブテニルシラン / グラブス触媒 / シャピロ反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではホウ素やケイ素、ゲルマニウム、スズ、リンなどを中心に有する縮合多環ヘテロアヌレン類の合成を目指して、分子内三重閉環メタセシス反応を行う。現在までに、比較的取り扱いの容易なケイ素を中心に有する原料化合物の合成を行い、そのメタセシス反応の検討を行った。 原料化合物であるトリス(2-ヘキサ-1,5-ジエニル)シランやそのメチルおよびフェニル誘導体は新規化合物であるが、対応するトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、あるいはフェニルトリクロロシランと2-ヘキサ-1,5-ジエニルリチウムとの反応により合成した。これらの化合物は分子内での三重閉環メタセシス反応により3個のエチレン分子を放出し、目的化合物のひとつであるシラフェナレン骨格の前駆体を与えると期待されたが、各種のメタセシス反応触媒(第1世代および第2世代グラブス触媒、ホベイダ-グラブス触媒、あるいはシュロック触媒など)を用いても反応は進行しなかった。これは生成する骨格が三置換オレフィン型であり、立体障害のため反応が阻害されたためと考えられる。 そこで原料化合物として、より反応性の高いトリ(1-シクロブテニル)シラン誘導体の合成を行うこととした。この合成には1-シクロブテニルリチウムが必要となるため、その発生法の検討を行った。その結果、入手の容易なシクロブタノンをシャピロ反応により1-シクロブテニルリチウムする手法を確立した。このリチウム反応剤と各種のトリクロロシラン類を反応させることにより、シラフェナレン骨格前駆体となり得るトリ(1-シクロブテニル)シラン誘導体を得ることが出来た。今後、これらの化合物のメタセシス反応を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では今年度中に各種の元素を中心とした縮合三環式化合物の合成を行い、その物性や構造解析を行う予定であったが、現在のところ原料の合成に留まっており、環状化合物の合成には至っていない。これは原料化合物であるトリス(2-ヘキサ-1,5-ジエニル)シラン類の合成が難しく手間取ったことに加えて、合成反応の最終段階である閉環メタセシス反応が予想に反して全く進行しなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
原料化合物であるトリス(2-ヘキサ-1,5-ジエニル)シラン類の環化メタセシス反応が全く進行しなかったことを踏まえて、原料化合物をより反応生の高いトリ(1-シクロブテニル)シラン類に変更した。この化合物を原料に用いることは、次年度の研究計画に含まれている事項であるが、研究実績の概要でも述べたとおり既に前倒しで予備的な検討を行っている。
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Causes of Carryover |
初年度の研究計画では目的化合物を合成し、その物性測定等を行う予定であった。しかし、年度内に目的化合物の合成が完了せず、測定等に使用する薬品類の購入を控えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
目的化合物の合成後に、測定等に使用する薬品類の購入を行う。
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