2014 Fiscal Year Research-status Report
2-スルファニルヒドロキノン二量体を使った新規機能性材料の創成
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26620031
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上村 明男 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30194971)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒドロキノン / ビアリール / 蛍光染料 / 大環状化合物 / バイオイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な新規機能性分子を簡単な操作で合成する・スルファニルヒドロキノン二量体の化学からの新提案: 1.新規な水溶性バイオイメージング材料の開発 前年度までに開発したスルファニルヒドロキノンを、酸化的処理してベンゾフランに変換し、その物性を検討した。ベンゾフランは蛍光性を示し、酸化剤との反応では橙色に呈色することがわかった。ヒドロキノン二量体をバイオイメージング材料とするために、フタルイミドを側鎖に導入する検討を行っているが、現在のところ効果的に進ませられていない。スルファニルヒドロキノンの非対称化によるより効率的なバイオイメージング材料の開発も現在進行中である。側鎖にカルボキシル基を導入した誘導体の合成には成功し、水溶性を獲得すると同時に紫外光照射によって蛍光を与えることを見いだした。 2.新規な大環状ホスト化合物を使った、新しい有機触媒系の開発 大環状三量体の効果的な合成法について検討を行った。大環状三量体は、シリンジポンプを使った高希釈条件下で41%で合成することができた。また1,3-ベンゼンジチオール以外にも、1,4-ベンゼンジチオールや2,7-ナフタレンジチオール由来のモノマーからも同様に大環状三量体を合成することに成功した。得られた環状化合物のメトキシ基はBBr3処理によって容易に脱保護でき、12個のフェノール性水酸基を有する大環状三量体の合成とその効率的な生成についても達成できた。得られた生成物の蛍光特性を検討したところ、絶対量子収率6%で蛍光を発することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大環状三量体の高効率合成を達成し、これからの研究の展開に弾みとなる知見を得た。またメトキシ基の脱保護と得られたポリヒドロキシ三量体の精製法の発見は、大環状三量体の化学修飾に道を開くので今後の展開に大きな期待が持てる。バイオイメージング材料開発については現在検討中の結果が多いが、まもなく成果が得られるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られた成果を元に、大環状三量体の化学を進め、超分子化学への展開を行う。またバイオイメージング材料の開発もあわせて進める。ヒドロキノン二量体の非対称化を通じて、新しい軸不斉有機触媒の開発もあわせて進める。
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Causes of Carryover |
予定した生成物を年度末までに合成することができなかったので、その分に使用予定であった金額が残った
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に、本研究課題である予定された化合物を合成するのに使用する。
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