2014 Fiscal Year Research-status Report
空軌道エンジニアリングによる電子輸送システムの構築
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26620058
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
庄子 良晃 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (40525573)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホウ素 / 空軌道 / 有機導体 / 合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機物質における電子輸送の新しいメカニズムを提案し、有機ホウ素化合物を牙ンとした高性能n型有機半導体開発への展開を図る。この提案は、申請者が最近見出した「あるホウ素化合物が、還元と再酸化により可逆にB-B 結合を生成する」という発見(JACS 2011, 133, 11058)に端を発する。このホウ素特有の反応性の本質に基づくと、ホウ素の空軌道を重ね合わせたアレイを構築した場合、そこに注入された電子は、非常に小さな活性化エネルギーで移動する可能性が高い。さらに、これを固体状態で実現すれば、優れたn型半導体特性が期待できる。 このような観点から、平成26年度は、新規含ホウ素π電子系化合物の合成研究を行った。具体的には、ディスクリートな環状電子移動システムのモデル化合物として、ホウ素六置換ベンゼン誘導体を設計した。その前駆体化合物の合成検討中、偶然にも、全く新しい含ホウ素π電子系骨格形成反応を見いだした。本反応の基質適用性は良好であり、他の手法では合成が困難な種々の含ホウ素π電子系化合物を合成すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にあるように、新しい含ホウ素π電子系化合物の合成反応を開発した。得られた種々の含ホウ素π電子系化合物は、n型有機半導体の基本骨格として期待できる。このように、当初の研究計画に加えて、新しい研究展開が進行しつつある。以上の理由から、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、含ホウ素π電子系化合物の合成と、ホウ素空軌道の集積化による様々なホウ素アレイを構築し、その電気化学的性質の検討を行う。これまでに合成した化合物を用いて、一次元~三次元状のホウ素アレイを構築し、Time-of-Flight法や、非接触マイクロ波伝導度測定によって、電荷輸送特性を調査する。単結晶試料の場合には、あらかじめ結晶面を明らかにしたサンプルを用いて、ホウ素アレイ構造と伝導度の異方性の相関について検討する。
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