2014 Fiscal Year Research-status Report
分子シミュレーションによる革新的な水素貯蔵ソフト多孔体の探索
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26620060
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 秀樹 京都大学, 工学研究科, 講師 (80376368)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ゼオライト鋳型炭素 / 水素貯蔵 / 分子シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高い水素貯蔵能を持ち,かつ低温水素吸着貯蔵タンクへの急速ガス充填時における吸着熱の発生に伴う温度上昇と,それに起因する吸着量の減少を,ガス吸着に誘起される吸着材の構造変形に伴う『熱吸収』によって抑制する自己熱補償型ソフト水素貯蔵材料の創製を目的としている。H26年度は,以下の要領にて,実在するZTC (鋳型:zeolite Y)についての実験および分子シミュレーションを行なうことで,その「合成シミュレーション・分子モデリング」手法の確立を目指した。 実験 (1) zeolite Yを鋳型とするZTCのYang率を水銀ポロシメーターによって測定し,(2) ZTCのin situ 粉末X線回折測定[窒素吸着(77 K)]によって,ガス吸着に伴うZTCの構造変形を観測した。これにより,ZTCはガス吸着によって一旦,収縮した後,膨張に転じることが分かった。 分子シミュレーション (1) 分子動力学(MD)シミュレーションによってzeolite Yを鋳型とするZTCモデルを構築し,(2) 温度・応力P一定とするNPT-MDシミュレーンによってZTCモデルのYang率を評価した。また,(3) グランドカノニカルモンテカルロ(GCMC)法によるZTCモデルへの窒素吸着等温線(77 K)の計算を行い,熱力学的積分法を適用することで,ガス吸着に伴うZTCの構造変形についての自由エネルギー解析を行った。この自由エネルギー解析によって,本研究で構築したZTCモデルにおいても実験と同様,ガス吸着に伴う収縮・膨張を生じることが明らかとなり,本モデルの妥当性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H26年度の実施計画に掲げた項目,実験(2)および分子シミュレーション(3)については,水素を吸着分子として実施することを予定していたが,それに先立って窒素を用いた検討を行い,本結果をもとに,H27年度において水素を対象とする検討を行うこととした。このため,実施計画に若干の遅れを生じたが,ZTCの合成シミュレーション・モデリング法を確実なものとすることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度の実施計画に掲げた項目,実験(2)および分子シミュレーション(3)について,水素を対象とする検討を実施する。また,分子シミュレーションを用いた仮想実験によって,数十種のゼオライト鋳型を用い,百数十種のZTCを合成する。そして,各ZTCモデルに対する水素吸着シミュレーション・自由エネルギー解析を実施し,そのスクリーニングを行なうことで,実用レベルの水素貯蔵量を有し,かつ自己熱補償型ソフト水素貯蔵材料としての機能を発現するZTCを探索・提案する。
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Causes of Carryover |
主に旅費の積算の誤差による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度において適切に使用する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Metal–semiconductor transition like behavior of naphthalene-doped single wall carbon nanotube bundles2014
Author(s)
F. Khoerunnisa, A. Morelos-Gomez, H. Tanaka, T. Fujimori, D. Minami, R. Kukobat, T. Hayashi, S. Y. Hong, Y. C. Choi, M. Miyahara, M. Terrones, M. Endo, and K. Kaneko
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Journal Title
Faraday Discuss.
Volume: 173
Pages: 145-156
DOI
Peer Reviewed
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