2014 Fiscal Year Research-status Report
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26620062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 博 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40182000)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高次多光子反応 / フォトクロミック反応 / 超解像 / レーザー光化学 / 反応スイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、レーザー共焦点顕微鏡をベースに、フェムト秒高次多光子顕微鏡の立ち上げを行った。光源として、チタンサファイアレーザーを用い、その第二高調波とフォトニック結晶ファイバの非線形光学効果を利用した波長変換により紫外域~可視域に渡る広範な波長領域で試料を励起可能とした。参照用に、有機色素の微小集合体や単一蛍光分子などをポリマー薄膜に固定化した試料を準備し、単一粒子/分子からの蛍光を共焦点検出系でアバランシェホトダイオードにより検出した。 次いで、光ビームの位相の空間分布を液晶デバイスにより変調し、対物レンズ下で集光された光強度分布を制御する、即ち光干渉型フォトマスクを形成するための光学系構築を行った。参照用に、連続発振レーザー光を用い、ドーナツ型の空間強度分布を回折限界程度まで集光可能な照射光学系を構築した。光強度の空間プロファイルは、半導体の蛍光性ナノ粒子(量子ドット)を極希薄に固体基板上に分散させ、その蛍光強度の空間分布をステージ走査型共焦点イメージを取得することで評価した。 予備実験として、閉環体で強い蛍光を示すジアリールエテン誘導体をガラス基板上の高分子薄膜中に固定化した試料を準備した。まずは顕微鏡下でUV及び可視光により単一分子の光異性化反応を繰り返し誘起できることを蛍光発光のON-OFFスイッチング現象を確認することで確かめた。 上記の一連の実験により、構築した共焦点顕微鏡システムを用いることで所望の照射スポット形状、強度分布、蛍光の高感度検出が可能であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画にとおり、初年度は装置の構築とその評価をメインのターゲットとして研究をおこなった。紫外域~可視域に渡る広範な波長領域で試料を励起可能とした光学系の構築とその評価、空間的な光位相変調技術による微小光マスクの実現とその評価、光異性化反応を示す分子系の単一レベルの光スイッチング実現などが達成され、当初計画を鑑みて研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年次(平成27年度)は、設計どおりのパルス幅を対物レンズ透過後の試料面上で実現するための最適化と高次多光子反応による異性化反応制御、空間パターニングを行う。分散補償用のプリズム対、或いは分散補償ミラーを用い、顕微鏡透過後のパルス幅< 40 fsとなるように最適化する。 また、マスクパターンを通した場合の空間パターニンクグを計算機シミュレーションにより見積もるともに、実際の測定を行い、理論的(計算)予測と比較する。計算と実験結果の対応から、励起状態で起こる量子干渉の効果についても検討する。また一波長の光の強度変化によって三光子反応と二光子反応の反応性制御が一般におこる現象かどうかを、種々の光異性分子で確かめる。得られた光照射条件を基に、微小領域パターニングサイズに対する効果を実験的に見積もる。さらに、時間が許せば、STEDのようにビームの中心のみの発光を可能とする超解像蛍光顕微測定にも挑戦する。これらの知見を総合して、高次多光子フォトクロミック反応を応用した超解像パターニングの研究結果を総括する。
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Research Products
(11 results)