2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26620066
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
津田 明彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20359657)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超分子 / 光化学 / フォトクロミズム / 音化学 / 分子集合体 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究グループでは可聴音の照射によって整列する超分子ナノファイバーの開発を行っている。可聴音を用いた分子配向の制御は、人の声で操作できるナノデバイスや分子マシンの開発につながり、新たなナノサイエンスの分野の開拓が期待される。本年度、我々は、音と光という複数の物理刺激による配向制御を目指し、光応答性ユニットをコアとする超分子ナノファイバーを開発した。 (1) 光応答性ユニットとして、アゾベンゼンをコアに有するAZを設計・合成した。trans-AZはシクロヘキサン中で自己集合し、ファイバー状の集合体を形成することがわかった。trans-AZに365 nmの紫外光を照射すると、AZはcis体へと異性化し、集合体はアモルファス状の凝集物に形態が変化した。これら両異性体の音響配向挙動を直線二色性(LD)スペクトルによって評価した。ファイバー構造を持つtrans-AZ集合体は可聴音照射によってその吸収帯に対応する波長でLDを誘起し、音響配向を示すことがわかった。一方アモルファス状のcis-AZ集合体からは、可聴音照射を行ってもLD誘起は見られず、溶液中で配向を引き起こさないことが明らかになった。本研究では、音響配向のON-OFFを光によって制御することに成功した。 (2) さらなる研究の発展として、次に光応答性ユニットとしてジアリールエテンを組み込んだDEUを新たに設計・合成した。合成したDEUopenはn-ヘキサン中でファイバー状構造を形成し、365 nmの紫外光照射によってファイバー構造を維持したままclosed体へと異性化した。異性化の前後で吸収スペクトルが大きく変化して、両方の状態で音響誘起LDが観測された。本研究では、光によって音響誘起LDの波長変換に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音と光に応答するナノファイバーの開発に成功し、その研究成果を論文として発表することができた。研究成果(1)は、Chem. Commun. 2014, 50, 5615.に掲載され、Nature Chemistry (2014, 6, 459)でハイライトされた。研究成果(2)は、Chem. Commun. 2015, 51, 2790に掲載され、掲載誌の裏表紙でハイライトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに柔軟な超分子ナノファイバーにアゾベンゼンやジアリールエテンなどのユニットを組み込むことにより、それらの音響配向現象の光制御に成功した。しかし、可聴音による液体流動に対するそれらの応答速度が遅いため、応答速度を高める必要がある。次年度は、剛直性の高いナノファイバーを新たに開発し、それらに光応答性ユニットを組み込み、より高性能の音・光応答性ナノファイバーの開発を行う。
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Research Products
(9 results)