2015 Fiscal Year Annual Research Report
10000%を超える電流効率を有する高度連鎖型電子移動クロミック反応系の構築
Project/Area Number |
26620067
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (40221197)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 異性化 / エレクトロクロミズム / 電気化学効率 / 連鎖反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
10000%を超える電流効率を有する新しいエレクトロクロミック分子の創出に向けて分子材料開発を進めてきた。特に微小電力で着色、消色が可能となれば新しいスマートウィンドウなどへの応用が期待される。100段以上の連鎖過程により一度、酸化反応が進行すると多数の分子がエレクトロクロミック反応を示す分子を設計、開発した。平成27年度には前年度に得られた知見をもとに新しい分子設計を行い高分子材料や低分子材料などの合成を行いその連鎖異性化反応を検討した。その結果、高分子量化においては、予想に反して連鎖反応性が低下することを見出した一方で、低分子化合物において置換基の選択的な導入により連鎖反応性を大きく増強できることが見出され、1電子酸化により1000段の連鎖反応が可能となり、異性化反応の電気化学効率が10000%を超える分子を達成した。この場合、酸化開始後の反応分子数は時間経過とともに線形に増加することが見出された。これは、律速段階が1分子反応であることを示している。さらにその異性化速度は初期の酸化量に比例することが見出された。このことから、1電子酸化によって形成されたC+型ラジカルからO+型ラジカルへの異性化反応が律速過程であることが見出された。このことは高分子量化によって加速がもたらされなかった観測事実と良い一致を示している。量子科学計算などから、それぞれの異性体およびそのラジカル種の相対安定性を詳細に調べ、観測結果をラジカル種の相対安定性から説明できることを明らかにした。これらを通じて、高クーロン効率をしめす新しい分子材料の設計指針を明らかにした。
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