2015 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンニュートラルを指向したバイオマスを担体とするキラル金属ナノ粒子触媒の開発
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26620076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮村 浩之 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00548943)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セルロース / 不均一系触媒 / 金属ナノ粒子 / ロジウム / 不斉合成 / 1,4付加反応 / キラルジエン配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度までに開発したセルロース担持Rhナノ粒子触媒を用いて,アリールボロン酸の鎖状エノンへの不斉1,4付加反応においてより高活性を示すことを見出した.特に,二級アミド構造を有するキラルジエン配位子を用いた際には,モデル基質を用いた際に収率91%,エナンチオ選択性98%で目的物を得ることがわかった.さらに,本触媒系は非常に広い基質一般性を示した.鎖状エノンのみならず,環状エノン,α,β不飽和エステルに対しても,合計21通りの基質の組み合わせにおいて高収率,高エナンチオ選択性をもって不斉1,4付加反応が進行した.有用な医薬品や生理活性物質の中間体についても本触媒系を用いることで高収率,高エナンチオ選択性をもって目的物が得られた.不斉触媒反応における非線形効果の検討を行った.その結果興味深いことに,セルロース担持Rh触媒を用いる際には正の非線形効果が得られるのに対し,対応する均一系Rh触媒を用いる際には線形の相関が得られた.このような結果は,不均一系触媒と均一系触媒において全く異なる活性種が生じていることを示唆している.さらに,これまでにない全く新しい手法をもってキラルジエン配位子とセルロース上に担持されたRhナノ粒子との相互作用の解明を行った.これまでに,当研究室においてSwollen-resin magic angle spinning (SR-MAS) NMR解析において,固体でありながら膨潤性の触媒中の残基を解析する手法を開発している.今回,本手法に2つの最新の技術,diffusion filterとisotope mixingという手法を組み込むことによって,固体触媒表面に相互作用するキラルジエン配位子の直接的な観測に成功した.これにより,セルロース担持Rh触媒を用いる際には,セルロース上のRhナノ粒子表面にキラルジエン配位子が相互作用した活性種が本反応において非常に重要であることが判明した.
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Research Products
(9 results)