2014 Fiscal Year Research-status Report
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26620084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山子 茂 京都大学, 化学研究所, 教授 (30222368)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 立体規則性重合 / ラジカル重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学活性オキサゾリジノン置換基を持つアクリルイミドをモノマーとして用い、種々条件を検討することで極めて高い立体選択性で重合が進行することを明らかにした。すなわち、当該モノマーをCH2Cl2/THFの混合溶媒中に溶解し、モノマーに対して当量のMgBr2共存下でAIBNを用いてラジカル重合を行ったところ、四連子の選択性(mmm)で99%以上の高い選択性で、対応するポリマーが得られることがわかった。ルイス酸の選択が重要であり、ルイス酸が無い場合は二連子のメゾ選択性(m)は23%であった。また、種々ルイス酸を検討したが、MgBr2が最も良い結果を与えた。さらに、本立体規則重合系は比較的高温でも高い立体規則性を示し、-50 oCから室温において、いずれも二連子m選択性で99%以上であった。さらに、用いるルイス酸をモノマーに対して30%程度に減らしても、高い立体規則性を保ったままであった。この結果は、触媒的にルイス酸が働いていることを示しており、触媒による立体規則性重合の可能性を開く重要な結果である。さらに、オキサゾリジノンの不斉炭素に置換した基が立体規則性に及ぼす効果についても明らかにした。 立体規則性がポリマーの物性に及ぼす影響について明らかにすることと、本重合体を汎用モノマーから得られるポリマーへと変換できることを明らかにするため、オキサゾリジノンの加溶媒分解について検討した。その結果、ルイス酸共存下において高圧下で加メタノール分解を行うことで、ほぼ定量的にポリアクリル酸メチルが得られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極めて高い立体規則性が発現する重合系を発見したことは大変大きな成果であり、十分に研究課題を達成できているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に明らかにした重合系をリビング系に適応することによる立体規則性と分子量制御の二元同時制御について検討を行う。当初の研究計画に示した通り、有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合を本年度開発した重合系で行うことで二元同時制御の達成を図る。有機テルル化合物はルイス塩基点を持つことから、テルル化合物とルイス酸との錯形成により副反応が進行する可能性があるが、テルル上への電子求引性置換基の導入などの対策を図ることで、その問題の解決を図る。 さらに、有機テルル系の重合がブロック共重合体合成に優れた性質を持つことを利用し、汎用モノマーとのブロック共重合体や、ルイス酸の有無の条件下での重合によるステレオブロック共重合体、さらに、絶対配置の異なるオキサゾリジノン置換基を持つモノマーを用いたステレオブロック共重合体などの合成を検討し、これまでにない新しい高分子群の創製を目指す。同時に、光学的な物性も含めた諸物性について、立体規則性が及ぼす効果について精査する。
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Causes of Carryover |
高い立体規則性がポリマーの物性にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするために、オキサゾリジノン置換基の返還により、ポリアクリル酸エステルの合成を検討した。ある程度は予想していたのであるが、オキサゾリジノンの反応性が低いため、完全に置換する条件を探すのに時間を費やしたため、オキサゾリジノンの置換基効果で計画通りに終了できなかった実験が残った。これを遂行するために経費が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費と成果発表に利用する予定であり、27年度の9月末を予定に使用を終了する予定である。
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