2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26620084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山子 茂 京都大学, 化学研究所, 教授 (30222368)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ラジカル重合 / 立体規則的重合 / ルイス酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度明らかにした、光学活性オキサゾリジノン置換基を持つアクリルイミドをモノマーとして用いた立体規則性重合の汎用性の拡大と、機構の解明について検討を行った。汎用性の拡大については、オキサゾリジノンの置換基を変えてその効果について検討した。従来用いていたベンジル置換体に対して、t-ブチル置換体を用いたところ、同様にMgBr2共存下で99%以上の高いメゾ体(m)二連子選択性が発現した一方、フェニル置換体ではm選択性が84%まで低下した。さらに、置換基のないオキサゾリジノンではm選択性は60%であり、置換基の選択が重要であることを明らかにした。さらに、これまでは(S)体のオキサゾリジノンを持つアクリルイミド用いていたが、(R)体のアクリルイミド(置換基はベンジル)を用いたところ、m選択性が99%以上の対掌体のポリマーが得られた。さらに、重合では溶媒の組成が重要であり、塩化メチレンとTHFの混合比が1/3~3/1の割合で用いることで、再現性良く高い立体特異性が発現することを明らかにした。 さらに、ルイス酸とモノマーとの相互作用を明らかにするために1H NMRを用いた滴定実験を行った。CD2Cl2/THF-D8(1/1)の条件において、ジョブプロットよりルイス酸とモノマーとが1/1で錯形成を行うことと、さらにその錯形成の結合定数Kaが0.4 L mol-1であることがわかった。結合定数が極めて低かったが、これはルイス酸が触媒量で高い立体規則性が発現できる結果と良い一致をしている。一方、ルイス酸がモノマーに配位することでモノマーの反応性が大きく向上することから、反応系はダイナミックな平衡が存在するが、ルイス酸と配位して活性化したモノマーだけが、選択的に重合に関与していることが示唆された。さらに、ルイス酸に配位することで、モノマーおよび生成する重合末端ラジカルの配座が固定されるため、これにより立体規則性が発現していることが示唆された。
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