2014 Fiscal Year Annual Research Report
含リン縮合多環芳香族炭化水素分子の複雑性と多様性の簡便構築
Project/Area Number |
26620086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳶巣 守 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60403143)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 均一系触媒反応 / π共役系化合物 / クロスカップリング / リン化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、π電子系化合物の「複雑さ」と「多様性」を構築するための新合成戦略の確立を目指した。π共役系化合物の構造構築は、1)π共役系を持つ母核構築と、2)側鎖置換基導入の2つの変換過程からなる。それぞれの過程について、われわれのグループで開発した触媒反応を駆使した構造構築を検討した。 1)π共役系を持つ母核構築について ビフェニル骨格をリンで連結した5員環縮環型のホスホールの触媒的合成法は多く報告例があるのに対して、ビフェニルエーテル、ビフェニルアミンなどをリンで連結した6員環縮環型の環状リン化合物の合成は開発が遅れている。本研究では、パラジウム触媒を用いる炭素-リン結合切断反応を駆使した多環系の6員環環状π共役リン化合物の合成に成功した。 2)側鎖置換基の導入について 従来の側鎖置換基導入は、ハロゲン基などの反応性置換基の変換に依存していたために、それらの置換基が母核構築反応により損なわれるという問題点があった。従って、置換基導入を母核構築以前に済ませておく必要があり、迅速な多様性構築を妨げていた。本研究では、母核構築反応により損なわれないメトキシ基の触媒的変換の利用を検討した。その結果、シロールやフェロセン、ナフタレンと言った種々のπ共役系骨格の存在下、それらを損なうことなくメトキシ基を直接触媒的に変換可能であることがわかった。特に、アルキニル基の導入によるπ共役系の拡張を達成した。さらに、ジベンゾクリセン骨格の自在合成も可能となった。
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