2014 Fiscal Year Research-status Report
親油性イオン対の導入によるポリペプチドの有機溶媒への可溶化とヘリックス形成
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26620091
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐田 和己 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80225911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小門 憲太 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40600226)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超分子化学 / 親油性イオン対 / オリゴペプチド / 生体機能利用 / 分子認識 / イオン解離 / 可溶化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では疎水性の高い残基からなるオリゴペプチドに、低極性溶媒中で解離する親油性の高いイオン対を1個または2個導入することで、オリゴペプチドの低極性有機溶媒への可溶化を検討した。疎水性の高い第四級テトラフェニルホスホニスム塩または長鎖アルキルからなる第四級テトラアルキルアンモニウムのテトラフェニルボレート塩に反応性官能基として、アジド基の導入を検討し、目的の親油性イオン対の合成に成功した。また、溶解性を評価する上でN末端側にはピレンをもつペプチドを導入する。 平行して、アセチレンを含むアミノ酸と疎水性アミノ酸(Leu, Ala等)からなる7~10残基程度のオリゴペプチドの合成をFMOC固相合成法に従って行なった。次に銅触媒存在下、対応するアジド基を第四級テトラアルキルアンモニウムのテトラフェニルボレート塩を固相担体したオリゴペプチドのアセチレンとのクリック反応を行い、疎水性の高いオリゴペプチドへの親油性イオン対の導入を検討した。脱樹脂後、C末端のカルボン酸をジアゾメタンで処理し、メチルエステルとしたのち、ESI-MASSによる同定を行った。その結果、アニオンモードからは期待される分子量に、親油性イオン対をもつオリゴペプチドが検出され、生成が確認できた。生成物はHFIPに分散可能である、この溶液にアセトンや1,2ジクロロエタンを加え、濃縮することにより、これらの溶媒中での紫外可視吸収スペクトルによりその溶解度を評価したところ、親油性イオン対の導入が溶解性の向上につながっていることが、示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおり、アジドを有する親油性の高いイオン対の合成ルートが確立できた点が最も評価できる。同時にFMOC法によるペプチドの固相合成の実験手法が確立し、様々なアルキンを含むアミノ酸と疎水性アミノ酸(Leu, Ala等)からなる7~10残基程度のオリゴペプチドの合成が可能となった。またクリック反応による親油性イオン対の導入も可能であり、目的物の生成が確認できた点も重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチドの固相合成およびクリック反応の条件検討を行い。収率の向上を目指す。またHPLCを用いた精製条件の精査を検討する。合成した親油性イオン対を導入した疎水性ポリペプチドについて、単離・精製を行い、様々な低極性有機溶媒への溶解度を評価する。可溶化できたオリゴペプチドについてはCDやNMRを用いて、低極性溶媒中における二次構造形成(特にα-ヘリックスの形成)を定性的に検討する。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画より研究の進展が遅れたため、試薬等の消耗品などの物品費がかかり、その反面研究成果発表に対する旅費への支出が縮小したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
公表できる研究成果が挙げられたため、研究成果発表に対する旅費への支出および研究の促進のための試薬等の消耗品などの物品費として加算する。
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