2014 Fiscal Year Research-status Report
可溶性ポリ(アリーレン-ビニレン)を経由する元素ハイブリッド炭素ナノリボンの創製
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26620095
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
冨田 育義 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (70237113)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成化学 / 高分子合成 / 高分子反応 / π共役高分子 / グラフェンナノリボン / 元素ブロック高分子 / 導電性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
高効率な元素ハイブリッド型グラフェンナノリボンの構築手法の開拓を目的に、申請者らが独自に開発した3成分重縮合法により容易に合成できるテトラアリールエチレン部位を繰返し単位とする可溶性ポリ(アリーレン-ビニレン)誘導体を前駆体として用い、温和かつ高効率な分子内環化反応を種々の手法によって検討した。まず、テトラフェニルエチレン部位をもつポリマー、単量体モデル、および2量体モデルの光反応を各々検討し、反応が高効率で進行し、縮環構造をもつ生成物を与えることを明らかにした。この際、反応の進行に伴い凝集誘起型発光特性は消失し、平面性をもつπ電子系材料に一般的な通常の発光挙動へと変化することが示された。また、電気化学的な酸化による縮環構造をもつ高分子への変換についても同様に効率よく進行することが支持された。なお、光化学的な酸化に基づく縮環形成では4つの芳香環のうち1対でのみ反応が進行していることがモデル反応の結果から示唆されており、現在その選択性を明確にするとともに、より強い酸化条件を用いて2対全ての芳香環全てを縮環形成させ、グラフェンナノリボン型の生成物を得る可能性を検討中である。また、4つのアリール部位の一部をアルキル基に変えた前駆体高分子の合成とその酸化挙動についても検討を行い、生成物への溶解性の付与と環化の制御の可能性を示した。 つぎに、様々な官能基や元素を付与した前駆体高分子からの元素ハイブリッド型グラフェンナノリボンへの展開を目的に、その一例としてチオフェン部位を2つもつ単量体モデルである1,2-ジチエニル-1,2-ジフェニルエチレンの光酸化を検討し、チオフェン部位が選択的に縮環を形成することを明らかにした。現在、同骨格をもつポリマーの合成とその酸化について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光酸化、電極酸化などの温和な条件において、テトラフェニルエチレン部位をもつポリマーが効率よく縮環形成を起こし、π拡張型の高分子を与えることを明らかにすることができた。また、その単量体モデル、および2量体モデル等を用いた反応挙動に関する詳細なデータの蓄積をあわせて行うことができた。つぎに、アリール部位の一部をアルキル基に置き換えた場合の環化挙動を明らかにするとともに、次年度に計画していた元素ハイブリッド型グラフェンナノリボンに向けたモデル反応の知見も一部蓄積できた。これらのことから、当初の計画どおりに、一部前倒しで研究が推進できており、興味深い成果が得られるに至っていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
テトラフェニルエチレン部位をもつ2量体モデル等を用いて光反応、化学酸化における反応の位置選択性を明らかにするとともに、4つの芳香環全てが縮環形成を起こす条件を最適化し、同条件による対応する構造をもつ前駆体ポリマーからのグラフェンナノリボン型の生成物の構築を検討する。また、適切にアルキル基を付与した前駆体ポリマーから可溶性グラフェンナノリボン型π拡張高分子の合成を検討する。さらに、ナフタレンやアントラセン等を部分構造に付与した前駆体ポリマーから高度に縮環した高分子の合成を検討する。つぎに、ヘテロ元素を付与した元素を付与した前駆体ポリマーの設計、合成を行い、これらの温和な光や電気化学的な酸化により元素ブロックπ拡張高分子の合成を検討する計画である。
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Causes of Carryover |
当初想定された合成化学的な試行錯誤をあまり繰り返すことなく効率よく前駆体高分子およびそのモデルを合成できたため大幅に消耗品の使用額を抑制できた。さらに、試薬等の消耗品の購入や旅費等において、運営費交付金等の併用が可能であったことから当該年度の支出を当初の計画よりも大幅に抑制することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の研究計画を前倒しで研究を進展させることができており、特に次年度に計画している元素を付与したグラフェンナノリボンの構築を当初の計画以上に勢力的に展開できるものと期待している。このため、元素を含む前駆体高分子の設計、合成を申請当初の計画よりも広く展開するために、これらの合成および評価に関する経費として重点的に使用する予定である。
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[Presentation] π-Conjugated Polymers Possessing Versatile Elements-Blocks2014
Author(s)
Tomita, I., Matsumura, Y., Suto, T., Lee, J.-H., Komatsuzaki, Y., Nishiyama, H., Inagi, S., Miyazaki, M., Ohshita, J.
Organizer
IUPAC 10th International Conference on Novel Materials and Synthesis(NMS-X)
Place of Presentation
Zhengzhou, China
Year and Date
2014-10-10 – 2014-10-15
Invited
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[Presentation] Reactive organometallic polymers as precursors for elements-block-containing π-conjugated polymers2014
Author(s)
Tomita, I., Matsumura, Y., Suto, T., Lee, J.-H., Komatsuzaki, Y., Nishiyama, H., Inagi, S., Miyazaki, M., Ohshita, J.
Organizer
248th American Chemical Society National Meeting & Exposition
Place of Presentation
San Francisco
Year and Date
2014-08-10 – 2014-08-14
Invited
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