2014 Fiscal Year Research-status Report
明確な直鎖構造を有する次世代多価フェノール樹脂の創成
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26620097
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
生越 友樹 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (00447682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 忠明 金沢大学, 物質化学系, 教授 (90220251)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 直鎖状フェノール樹脂 / ヒドロキノン / ベンゾキノン / 酸化 / キンヒドリン / ガス吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
明確な直鎖構造を有するフェノール樹脂の合成 明確な直鎖構造を有するフェノール樹脂を合成するために、パラジメトキシベンゼンをモノマーとして重合を行った。その結果、オルト位でのみ重合したポリマーが得られた。得られたポリマーはメトキシ基で保護されているため、メトキシ基の脱保護を行った。脱保護により、ヒドロキノンのパラ位でメチレンが連結した新規フェノール性ポリマーの合成に成功した。明確な直鎖構造を有した新しいフェノール樹脂であるといえる。 直鎖構造を有するフェノール樹脂の酸化によるネットワークポリマー化 得られたポリマーを酸化すると、ヒドロキノンがキノンへと変化した。酸化剤の量が少ない場合は、沈殿は見られなかったが、酸化剤の量が多くなると沈殿を生成した。ヒドロキノンは酸化により、ベンゾキノンへと変換される。ベンゾキノンはヒドロキノンと非常に強い電荷移動錯体(キンヒドリン)を形成するために、酸化剤の添加によってネットワークポリマーが形成されたと考えられる。ネットワークポリマー化することにより、炭素化率が50%から60%まで向上した。また酸化により得られるネットワークポリマーは、ネットワーク化により、窒素ガスを吸着することのできる細孔を有していることが分かった。酸化剤により、ネットワークポリマーの架橋度を変化させることができ、適度な架橋度の時に最も窒素ガスを吸着することが分かった。フェノール樹脂を架橋するには、架橋剤を加えて共有結合により架橋を進める必要があるが、本研究の手法では、酸化剤の量を調節するのみで、ネットワークポリマー化の度合いを自在に調節することが可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新たな直鎖構造を有するフェノール樹脂の合成に成功した。さらに、得られたフェノール樹脂の酸化により、ネットワークポリマー化が可能であることが見出された。合成のみではなく、新しいフェノール樹脂の架橋方法が見出されたため、本研究は、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ネットワークポリマー化により、窒素ガスを吸着することから、酸化剤の量をチューニングして、もっとも効率的に窒素ガスを吸着できる組成を決定する。さらには、還元反応を進行させることで、脱ネットワークポリマー化を試みる。これにより、ネットワークポリマーと直鎖状ポリマーを酸化・還元によりリバーシブルに変換できるといえる。また、得られたネット-ワークポリマーは非常に高い炭素化率を示したため、炭素化を行う。炭化後にも窒素ガスを吸着することができれば、新しいポーラス炭素材料の合成法になると期待される。
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Causes of Carryover |
試薬代、ガラス器具代が一部未使用であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬代、ガラス器具代として使用する。
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Research Products
(4 results)