2015 Fiscal Year Research-status Report
ラセン高分子を対アニオンとする立体制御カチオン重合
Project/Area Number |
26620100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大内 誠 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90394874)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高分子合成 / らせん / 立体規則性 / カチオン重合 / キラル / ビニルエーテル / アセタール / リビング重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
側鎖に「ヘミアセタールエステル(HAE)」を有するラセン高分子に対し,適当なルイス酸による可逆的活性化によって,ラセン高分子(側鎖のアセテートアニオン)を対アニオンとするカチオン重合を研究する。ここで,最初にキラルなビニルエーテルを用いてHAE化する,あるいはキラルなルイス酸でHAE結合を活性化することで,「一方向巻きのラセン対アニオン」の生成を誘起する。その後,モノマーとして用いるビニルエーテルが付加してできるドーマント種のキラリティーを,ラセン対アニオンによって制御し,立体規則性カチオン重合へと展開する。 平成27年度はパラ位にカルボン酸を有するフェニルアセチレンに対して,キラルメントールを側鎖に有するキラルビニルエーテルを付加させてHAE化させ,そのHAE結合を分解することなく重合させることに成功した。鏡像体のメントールを用いて,同様にHAE結合を介してキラル側鎖を有するポリアセチレンを合成したところ,ポリマーの主鎖構造の吸収領域に,逆向きのコットン効果を示したことから,側鎖キラリティーのらせん誘起によって,これらポリアセチレンのらせん構造が一方に偏っていることが示唆された。このポリマーを開始剤として用いて,四臭化スズを触媒として組み合わせ,イソブチルビニルエーテルのカチオン重合を検討したところ,重合が進行しポリマーが得られたが,そのアイソタクティシティは78%と一般的な値であった。今後を見据えて,カチオン重合中のらせん保持の解析,開始能は無いがらせん誘起力のあるモノマーとの共重合によって構築したらせん高分子対アニオンの影響を調べており,平成28年度はこれらの検討を続け,目的とする立体規則性制御につなげる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キラルビニルエーテルの合成,これを用いたHAE化,主鎖へのらせん誘起まで成功し,ラセン対アニオンの設計指針について目処がたちつつある。あいにく,立体規則性は低かったが,ラセン対アニオンを共重合で設計することで研究が進展すると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ラセン誘起力は大きく,カチオン重合開始能の無いアセチレンと,カチオン重合開始能のあるアセチレンを共重合させることで,ラセン対アニオンを構築する。これにより,成長カチオン近傍にラセン環境を構築し,立体規則性カチオン重合を実現させる。
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Research Products
(3 results)