2014 Fiscal Year Research-status Report
異種分子交差重合を用いるグラフェンナノリボンの新しい気相成長法の開発
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26620101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂口 浩司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (30211931)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 炭素高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンナノリボンは、炭素原子で構成された一次元炭素系高分子であり、高いキャリア移動度や強い機械強度などの優れた機能を有すると理論的に予測され、ポストシリコンとして期待されている。しかしグラフェンナノリボンは不溶・不融であり、フラスコ中での合成化学の適用が困難であるため、従来の形成手法は、グラフェンの気相エッチング(切削)による“トップダウン”の手法が主流である。この方法は、マイクロメーター長のグラフェンナノリボンが得られるものの、エッジ構造が規定できず、且つ低収率である欠点を持つ。一方、分子部品の組み立て反応により作成するボトムアップ法は、分子設計した低分子を原料とするためエッジ構造を正確に規定したグラフェンナノリボンの作製が可能である利点を持つが、これまでに報告された方法では、低収率で且つ、短分子長のアームチェア型エッジ構造を持つグラフェンナノリボンしか得られていない。今年度は、新たに原料分子を設計し、ビフェニル骨格のある位置に臭素原子を結合させた数種のモノマー分子を合成した。これらのモノマー分子を用いて、2ゾーン型化学気相成長法により、グラフェンナノリボンの生成を調べたところ、ある種のモノマーが効率良く金表面上で重合反応と脱水素縮環反応を起こすことを見出した。温度条件などを詳細に調べた結果、最適化された条件で最長20nm程度の長さを持つ、湾型グラフェンナノリボンえお生成していることが明らかになった。また、このグラフェンナノリボンの性質を調べ、1.2eVのバンドギャップを持つ半導体であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、長鎖長を持つグラフェンナノリボンの新しい表面合成法を開発することである。本年度に得られた結果は、表面上で原料分子同士が立体的反発による反応の低下を避けるために、新しく分子設計した原料分子を用いることにより、従来よりも長い、新種の湾型グラフェンナノリボンが成長できることを明らかにしたものである。これらの新規な現象の発見が順調な進展と自己評価されるポイントである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、今年度明らかにした新種のグラフェンナノリボンの物性評価を行い、更にこのグラフェンナノリボンを使用したトランジスタを試作し、性能評価を行う予定である。
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[Presentation] Synthesis of T-shape acene-fused biazulene molecules2014
Author(s)
T. Nakae, T. Kikuchi, S. Mori, T. Okujima, H. Sakaguchi, T. Murafuji, H. Uno
Organizer
International Symposium on the Synthesis and Application of Curved Organic π-Molecules and Materials (CURO-π)
Place of Presentation
Obaku Plaza, Kyoto University(京都府宇治市)
Year and Date
2014-10-19
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