2014 Fiscal Year Research-status Report
折り畳みπスタック高分子を基盤とする一重項分裂材料の探索
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26620109
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
岡本 専太郎 神奈川大学, 工学部, 教授 (00201989)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機能性高分子 / 一重項分裂 / 積層高分子 / 有機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の折り畳みπ積層高分子の構造は,連結部である1,3-ジアリールプロパンユニットのベンゼン環に共役型で直結したものであったが,このままでは多様なπユニットを導入する際の制約があった。即ち,これまでに分子結晶でsinglet fission現象が確認されているものには,ペンタセンなどの柔軟性が低い(言い換えれば“固い”)構造が多く有り,これらをπユニットとして導入した場合,有効な積層構造をとりにくいことが懸念された。そこで,連結部とπユニットの間にいくらか柔軟な構造部分を挿入することを検討した。その結果,柔軟な部分を挿入した場合,溶液中ではπ積層構造の優位性が損なわれる傾向が観察されたが,固体(フィルム)状態では十分なπ積層構造をとっている事が明らかになった。このことによりsinglet fissionが期待されるπユニットを広範囲に導入できる基礎技術が確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Singlet fissionを期待できるπユニットを広範囲に導入できる基礎技術が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の知見を基に,従来,分子結晶系でsinglet fission現象が確認されているπ分子構造をユニットとして導入した折り畳みπ積層高分子を速やかに合成する。得られた高分子ついて,基礎物性を明らかにした上で,ns, psレベルでの過渡吸収および時間分解蛍光発光分析を行い,singley fission現象を追跡する。また,この種の高分子は,ホッピングによる導電性が同時に期待されるので,これらの高分子の導電性や半導体特性についても検討する。
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Causes of Carryover |
基礎合成技術の確立に注力した為,生成高分子の物性評価用の機器,資材の購入や分析費用の多くを次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度の知見を基盤に,高分子合成を速やかに行い,さらに,前年度より繰り越した分光測定用の資材の調達,分析依頼費などを行って,物性評価を推し進める。 電気化学測定用機器の購入を検討する。
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