2014 Fiscal Year Research-status Report
新しいセンシングプラットフォームとしての脂質二分子膜単電子トンネリング場の創成
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26620111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平野 愛弓 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (80339241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 康男 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (40312673)
庭野 道夫 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20134075)
山本 英明 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10552036)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂質二分子膜 / 単電子トンネリング / ナノデバイス / 単電子トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質二重膜への金ナノ粒子の導入について検討し、金ナノ粒子(φ2 nm)の表面が親水基で修飾されている場合は脂質二分子膜中に導入されないが、親水基を置換して疎水化することにより脂質二重膜中に導入できることを見出した。また、作製した脂質二重膜の表面平坦性と流動性の変化を原子間力顕微鏡により評価した結果、金ナノ粒子を導入した脂質二分子膜は欠陥の少ない平坦な膜となることが分かった。さらに、金ナノ粒子の導入により、脂質分子の拡散がどのような変化を受けるかについても検討を行った。 次に、金ナノ粒子配列における単一電子帯電効果について、モンテカルロ法を用いた数値シミュレーションによる特性予測を行った。その結果、比較的大きなサイズ分散をもつ金ナノ粒子を用いた場合でも、室温において観測可能なレベルの単一電子帯電効果を期待できることが示唆された。一方、本研究の遂行には、ナノ粒子包埋脂質二分子膜のトランジスタ特性を調べることが必須であるが、従来の脂質二分子膜の評価装置ではトランジスタ特性の評価は難しいという問題があったため、本年度はトランジスタ評価用の装置を用いた脂質二分子膜特性の評価について検討し、十分なノイズ対策をすれば、トランジスタ評価用の装置を用いて脂質二分子膜の特性評価がおおむね可能であることを確認した。また、脂質二分子膜内での電極配線について検討し、微細孔形成基板上での金電極配線が可能であることが分かった。この他、微細孔形成基板中に作成した脂質二分子膜中へのイオンチャネルタンパク質の包埋について検討し、一過性の強い刺激の付与により、高効率なチャネル包埋が可能となることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子の包埋方法やデバイスシミュレーションについての検討が進み、デバイス構造および設計の指針が立てられるようになってきた。また、脂質二分子膜の特性評価にトランジスタ評価用の装置が使用できることも確認でき、二分子膜内電極配線についても配線方法を確定することができた。以上より、おおむね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の結果に基づき,電極配線をほどこしたシリコン基板に金属ナノ粒子を含む脂質二分子膜を形成したトランジスタを作製し,そのトランジスタ特性を測定して構造の最適化を行う.具体的には,単電子トランジスタの特徴であるクーロン階段,クーロン振動,クーロンダイヤモンドが観測できるか検討し,二分子膜径や,ナノ粒子径,粒子間距離等の最適化を行う.また,ソース-ドレイン電圧によって,金属ナノ粒子が動いてしまう可能性もあるため,最適配置を固定できるような仕組みについても光架橋性リン脂質等を用いて検討する.さらに、このトランジスタのセンサー応用についても検討を開始する。金属ナノ粒子の表面処理により物質認識素子を修飾した単電子島を用いて単電子トランジスタを作製し,まわりの液中に対象物質を添加した際の単電子トランジスタ特性の変化について詳細に検討し,単電子トランジスタという新しいプラットフォームが,これまでにない超高感度なトランスデューサーとして機能しうるのか検討を行う.これを、新しいセンシングプラットフォームに基づくバイオセンサーとして提案する. 以上の一連の研究結果から,脂質二分子膜に基づく新規単電子トランジスタの構築とバイオセンサーへの展開について,研究の総括を行う.
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Causes of Carryover |
科研費の適切な使用を心がけて節約につとめたところ、余剰が生じたために、翌年度への繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の平成27年度は、本研究課題の最終年度となり、測定回数も大幅に増えると予想されるため、脂質溶液や金ナノ粒子他の試薬を含む消耗品費の増大が予想される。H26年度からの繰り越し金は、その消耗品費として使用したいと考えている。
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Research Products
(24 results)