2014 Fiscal Year Research-status Report
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26620112
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山口 央 茨城大学, 理学部, 准教授 (10359531)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ細孔 / DNA / 3塩基認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
3塩基認識は,リボソームでのタンパク質合成において重要な役割を担っている。しかし,in-vitro系での実験的困難さから,その熱力学的安定性に関する知見は得られていない。本研究では,無機ナノ空間内におけるRNAの3塩基認識に関する一連の(塩基配列やミスマッチの有無)熱力学的パラメーターの算出を目指している。本研究では,以下の3課題について研究を進めた。 1)トリプレットリピートDNAを用いた検証:CCGトリプレットリピートの熱安定性について計測する蛍光プローブの検討を行った。その結果,一般的な蛍光プローブであるフルオレセイン,ローダミン系のプローブ色素はグアニンによる蛍光消光の影響が大きく,本系において適用できないことが分かった。一方,チアゾールオレンジを蛍光プローブとした構造安定性の検証が可能であることを見いだした。 2)細孔サイズの検証:チアゾールオレンジを用いて(CCG)4トリプレットピーとの構造安定性を検証した。実験においては,チアゾールオレンジ吸着(CCG)4をメソポーラスシリカ粒子の細孔空間(細孔サイズ:3.4,5.3 nm)に吸着させて,蛍光桜桃の温度依存性から構造変性の観測を行った。その結果,細孔径の大小にかかわらずバルク溶液系と比べて構造が不安定化されていることが示唆される結果を得た。これは,当初予定していた構造安定化とは逆の結果であることから,構造不安定化の要因について検討を現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ひも状の二重らせん構造についてはシリカ細孔内で安定化されていた一方で,ヘアピンループ構造では逆に不安定化されることが平成26年度内の研究で判明した。ヘアピンループ構造の構造不安定化の要因を検証するために,やや達成度が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は,ヘアピンループ構造をモチーフとして3塩基認識の熱力学的エネルギーを系統的に精査する予定であった。現在進めているヘアピンループ構造の構造不安定化の要因を検証後,目的達成に必要な二次構造を再設計など適切な実験系の構築を行っていく予定である。なお,構造変化を観測する蛍光プローブとしてはチアゾールオレンジが適切であることは,これまでの研究で確認している。従って,適切な実験系の構築後,チアゾールオレンジを用いた3塩基認識の検証を進める。
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Causes of Carryover |
当初は,ヘアピンループ構造をモチーフとして3塩基認識の熱力学的エネルギーを系統的に精査する予定であったが,ヘアピンループ構造は予想に反してシリカ細孔内で不安定化することが分かった。その原因を解明するために研究がやや遅れており,次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は,ヘアピンループ構造の構造不安定化の要因を検証後,目的達成に必要な二次構造を再設計など適切な実験系の構築を行っていく予定である。構造不安定化要因の検証に必要な試薬,溶媒,合成DNAなど消耗品として使用する。
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Research Products
(5 results)