2015 Fiscal Year Research-status Report
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26620119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
作花 哲夫 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10196206)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミクロ構造体 / 固有振動 / レーザー光散乱 / 光ヘテロダイン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクロ構造体として固体基板上に滴下された水滴を対象とし、レーザー光散乱における周波数シフトを光ヘテロダイン法により測定することにより、水滴の固有振動数を計測する方法を確立した。測定された固有振動数が決まるメカニズムの詳細について調べた。 水滴の振動が界面張力を復元力とする波で記述されると仮定し、その波が水滴の円弧に定在していると考えた。両端を固定端とする境界条件のもとで円弧に半波長の整数倍の波が存在すると仮定すると、測定結果を定量的に説明できなかった。実際には固定端条件と自由端条件の中間的な境界条件、つまり半波長のΔ倍だけずれた位置に波の節があると考え、Δをパラメータとしてさまざまな系におけるこの現象の統一的な説明の可能性を検討した。 空気中、n-デカン中、およびシクロヘキサン中のガラス基板上の水滴、空気中の疎水化ガラス基板上の水滴、空気中の鏡面研磨および粗面研磨シリコンウエハ上の水滴についてΔの値を求めた。実験はさまざまな水滴サイズについて行った。その結果、Δの値は媒質や基板の材質だけでなく、表面形状によっても大きく変化することが明らかになった。 さらに、強い振動を与えて比較的大きな振幅の固有振動を誘起することでΔの値に及ぼす影響を調べた。振幅が大きくなると、Δの値も大きくなる傾向が見られたが、このことは、大きな振幅では自由端としての挙動がより顕著に現れることを示している。 以上、基板上の水滴の固有振動を分光手法によって計測し、振動のメカニズムの詳細を解明した。水滴のような物体においても、振動分光学的手法がキャラクタリゼーションの手がかりとなることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体基板上の水滴の固有振動を計測し、振動のメカニズムの詳細を解明し、水滴のような物体においても振動分光学的手法がキャラクタリゼーションの手がかりとなることを示したことは計画以上である。測定対象を他の多様な物体に展開できなかったことは計画以下である。これらを総合して概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、計測対象とする物体として固体基板上の水滴をとりあげて研究を進めてきたが、今後はそれ以外の物体の固有振動についても計測も試みる。また、より小さな物体の固有振動の計測可能性について検討する。さらに、成果を論文として発表する。
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Causes of Carryover |
本年度は装置の改造を行わずに既設装置での実験を繰り返し、データ解析を重点的に行ったため、物品購入が少なかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
さらにデータを増やすために必要な消耗品の購入と研究成果の発表のための費用に充当する。
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Research Products
(3 results)