2014 Fiscal Year Research-status Report
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26620126
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
外山 滋 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 研究室長 (50360681)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体材料 / 生体電極 / 電気化学 / 生体信号 / センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
・セルロース膜からなる電極を作製するにあたり、セルラーゼによるセルロース溶解性について調べた。Aspergillus niger由来のものと、Trichoderma viride由来のものと比較した結果、後者の方が早く分解したので、以後の実験には後者を用いた。 ・次にセルロース再形成膜を作製し、その酵素分解性について調べた。市販透析膜をLiCl/DMAc溶液に溶解し、この溶液から形成した再形成膜にセルラーゼを適用したところ溶解したため、本研究を計画通り進める意義が確認された。 ・そこで、次に電極の主用構成部品となるセルロースチューブの作製を試みた。最初の方法は芯材にセルロース溶解液を塗布乾燥して膜を形成し、その後膜中の溶媒を純水中で溶出させることで除去することとした。セルロース再形成膜は溶媒を除去する過程で収縮するため、芯材にはエラストマーであるシリコーンチューブを使用した(他に試みたエラストマーはDMAc溶解性があったため)。シリコーンはセルロース膜の離形性にも優れており、セルロース膜形成後に引き抜くことでセルロースチューブと分離した。これにより外径約0.2mm、長さ約20mmのセルロースチューブを作製できたが、外径に厚みムラが生じた。その理由として、芯材にセルロース溶解液を乾燥する際に液滴が生じていた。そのため、チューブの作製方法を改良することとなった。 ・その一つの試みとして、溶液の粘度や性状を変えることで乾燥時のムラが減らせるのではないかと考え、シリコーン微粒子をフィラーとして分散させた。しかし、シリコーン微粒子を含む再形成膜は機械的耐久性が低下したため(引っ張ると裂ける)、別の方法を検討する必要があることがわかった。 ・チューブを作製するための別の試みとして、同心円状に直径の異なる二つの金属チューブを入れ子にし、その間を溶液を通して押しだし、成形することを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・研究の独自性の要素である、セルロース膜製の電極が酵素的に分解可能であることは原理的に確認できたため、コンセプト自体には問題が無いと思われる。 ・しかし、電極の主要部品であるセルロースチューブの加工方法の確立に時間がかかっている。マイクロチューブの作製はできることはできたが、形状にややムラがあるため、作製法についてさらに検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
・まずはセルロースチューブの形成方法の確立を含め、電極の作製を進める。電極は直径の異なる二本のチューブを同心円状に入れ子にした構造であり(当初は内チューブもセルロース膜を考えていたが、現時点ではシリコーンチューブを考えているが、ここの材料についてはバリエーションあり)、その内部を電解液で満たす構造である。この内液は電極の尾部のジョイント部分を通して還流できる構造となっている。このジョイント部を作製する必要があるが、これもセルロースで形成することとする。 ・電極作製方法確立後は電極の分解速度、生体組織モデルを用いた電極の刺入性、電極の電位測定時の応答特性などの評価を行う。さらには、電極分解時の残存物の細胞毒性評価などもその次の段階で進める。 ・その後、電極の小型化などを検討する。
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Causes of Carryover |
・研究の途中で研究費が逼迫させることを恐れたため、備品は実験の結果によってスペックが左右されるところもあり、確定するまでは購入を控えている。 ・電極の作製費として、これまでは材料費が安価であったため、多くの費用を要しなかった。また、電極を分解するための酵素も、電極がまだ完成していないので必要最小限の量しか購入していない(酵素については購入後早期に実験することが好ましいので、ストックを作らない様にしている)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・備品としては、今後微細な加工作業が想定されるため、顕微鏡(既存)回りのパーツやマニピュレータ等の購入を想定している。電極作製の材料費自体は安価であるが、今後加工用の器具を自作するための材料費も加わることが想定される。その他、本実験に関わり消耗される消耗品の購入(キムワイプや純水製造装置のカートリッジ等)が必要となる。 ・また、研究が進めば学会発表や論文投稿などが想定されるため、それに要する費用が想定される。
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